応用編

拾えるはずのサイン

副腎皮質機能低下症では、副腎クリーゼはいきなり完成した状態で現れるとは限らず、その前に、いつもと違う強い倦怠感や脱力、吐き気、腹痛、血圧低下など、いくつかの変化が現れることがあります。

私が普段から体感やウエアラブルのデータを記録しているのも、この「いつもと違う」をなるべく早く拾うためです。
ただ、ここで少し気をつけたいのが、薬で症状を抑えている場合です。

眠剤や安定剤、抗不安薬だけではなく、吐き気、痛み、動悸、下痢など、その時に出ている症状を抑える薬をいくつも使っていると、本来なら体調悪化のサインとして気づけたはずの変化が見えにくくなることがあります。

もちろん、必要な薬を使わないという意味ではありません。つらい症状には治療が必要ですし、副腎クリーゼが疑われる時には、症状を観察することよりも適切なシックデイルールや緊急対応が優先されます。

ただ、「症状が消えた=身体の負荷そのものが解決した」とは限りません。

薬で眠れた。吐き気が治まった。動悸を感じなくなった。痛みが軽くなった。
それによって楽になっていても、身体の状態まで回復したとは限らないので、ほかの症状や血圧、心拍、血糖なども含めて、その後の変化を見ておくことは大切だと思っています。

副腎クリーゼを防ぐうえでは、大きな異常が出てから気づくのではなく、その手前にある小さな変化を拾うことも大切です。

拾えるはずのサインを、薬で全部見えなくしてしまわないこと。
私自身は、これも副腎皮質機能低下症の体調管理で意識しておきたいことのひとつだと思っています。