コートリルを飲み始めたばかりの頃は、「自分の量は多いのか少ないのか」「この飲み方で合っているのか」と、不安になることがあると思います。体に合う量や飲み方は人によって違うため、単純に数字だけで判断できない部分もありますが、その答えを見つける過程で学んだことをまとめてみました。
コートリルの推奨量
少し前の日本では、コートリルが今より多めに処方されていた時期もあったようですが、最近は、「多くても15mg/day」という考え方が一般的になってきていて、特に日本人女性の場合は、それより少ない量でも十分なことがあるという見方も広まってきています。
2023年に改訂された国内のガイドライン(間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版)でも、ACTH分泌低下症の治療は少量(ヒドロコルチゾンとして5〜10mg/日)から開始し、初期投与量で症状の改善がなく、副作用がなければ段階的に増量するという方針に変わっています。
とはいえ、体の状態は人それぞれです。副腎皮質機能低下症以外の病気も抱えている方や、過去にコートリルを長く多めに飲んでいた方などは、一般的な推奨量の範囲では安定せず、増量が必要になるケースもあるみたいです。
補充=血中濃度ではない
コートリル10mgを服用すると、血中のコルチゾール濃度は一時的に36μg/dLを超えることもあるそうです。そして、コートリルは血中濃度のピークが高くなりすぎると、その後のリバウンドで、コルチゾールがほとんど存在しない「空白の時間」が生まれてしまうことがあるそうです。
そのタイミングでコルチゾール不足の症状が出やすくなったり、そこに強いストレスが重なった時に、副腎クリーゼのリスクが上がってしまうことも考えられますし、それがこの病気のコントロールのしにくさの一つなのかもしれません。
日内変動と補充量のイメージ(=参考)
また、補充療法をしている人なら感じたことがあると思いますが、コートリルは一度増やすと、あとから減らすのが大変だったり、難しくなることもあります。なので、本当に増量が必要な状態でない限りは、できるだけ慎重に考えたいところです。
体調不良の本当の理由
そこで大事だったのが、コルチゾール不足と思われる症状が、本当にコルチゾール不足によるものなのか、それとも生活習慣や食事の乱れ、疲労の蓄積などによるものなのかを見分けることでした。
これは、内分泌の先生だけでは判断が難しいこともあるので、受診日に「最近こういう不調があります」と伝えると、安全を優先して「念のため増量しましょう」という話になることも多いと思います。
もちろん、本当にコルチゾールが不足しているのであれば、増量は必要な対応だと思います。ただ、日常に感じる不調の背景に、食事のタイミング、睡眠不足、脱水、活動量の多さなどが関係している場合、本来は生活の組み立てで改善できる部分まで、コートリルの増量で抑え込んでしまうこともあると思います。
そうすると、少しずつ補充量が増えしまい、不調があるたびにコートリルで対応する流れになってしまうので、そうならないためにも、日常の中で整えられる部分はできるだけ整えておくことが大切です。
補充療法に使うコートリルはステロイドです。長く病気と付き合っていくうえで、できるだけ「必要最小限の量」で体調を保てることは、とても大切です。
だから私は、コートリルを「不調をゼロにするための魔法」ではなく、「命を守るための最低限のベース」だと考えるようにしています。