数値を公開している理由

副腎皮質機能低下症で、私がコルチゾール値やコートリルの量を公開している理由があります。

この病気は、診断されたばかりの頃、本当に情報がありませんでした。初期の頃に、自分のコルチゾール値が1.6μg/dLだと知り、基準値よりも低いことは分かりました。でも、それがどのくらい低いのか、自分はどの位置にいるのか、これからどんな経過をたどる可能性があるのか、当時の私はそれを知りたくて、数値や経過を公開している患者さんのブログや体験談を読み漁りました。

どんな数値だった人が、どんな症状で、どんな経過をたどったのか。どのくらいのコートリルを飲んで、どんな状態になっていたのか。補充量が変わった時に、体調はどう変わったのか。そういう情報を、ひとつひとつ探していました。

もちろん、人の数値をそのまま自分に当てはめることはできません。副腎皮質機能低下症といっても、原発性なのか、続発性なのか、ACTHが出ているのか、自前のコルチゾールが残っているのか、回復期なのか、甲状腺ホルモンの補充があるのか。それだけでも、参考になる相手は変わります。

それでも、似たような病態の人を探したり、主治医に相談する材料にしたり、自分の状態を理解したりするために、数値は大事な手がかりでした。

私が見ていたのは、数字だけではありません。その人がどんなコートリルの飲み方をして、どんな経過をたどって、今どんな状態なのか。体調を保つために、薬以外でどんな工夫をしているのか。そういう背景まで含めて、自分の参考にできるかどうかを見ていました。

そこで分かったのは、コートリルの飲み方も大事だけれど、それ以外の工夫も本当に大事だということでした。睡眠、食事、運動、ストレス、感染時の対応、生活の組み立て方。そういうものが、日々の体調にも、コートリルの必要量にも関わってくることを知りました。

副腎皮質機能低下症のようなレアな病気にとって、数値はただの数字ではありません。自分の立ち位置を知るための手がかりになったり、似た病態の人を探すための目印になったり、主治医と話す時の材料になったりします。

そして、この数値は固定ではありません。良くなることもあるし、悪くなることもあります。自分の努力とは関係ないところで変動することもあります。だから、私はいろいろな人の経過を知ることで、「もし自分がこういう状態になったら、どう備えようか」と心の準備をすることができました。

数値を公開することには、もちろん慎重さも必要だと思っています。数字だけを切り取って、自己判断で薬を増やしたり減らしたりするためのものではありません。誰かと比べて、安心したり落ち込んだりするためのものでもありません。でも、前提や経過と一緒に残された記録は、同じ病気の人にとって、大事な手がかりになることがあります。

少なくとも私は、そういう記録に助けられてきました。なので私は、あくまでもひとつの参考として、自分の数値と経過を公開しています。

それは、誰かに同じ治療をすすめたいからではありません。診断されたばかりの頃の私が知りたかった情報を、同じように探している誰かがいるかもしれないからです。

2026.7.6 掲載

読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
医療に関する判断を行う際は、必ず医師にご相談ください。