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職業は会社経営。帰国子女・グルテンフリー・オーガニック。
趣味はキックボクシング(闘病の為おやすみ中)・写真撮影・海外旅行。


原因不明の副腎皮質機能低下症と診断されて、2022年6月からコートリルを服用開始しました。20mg/dayでも不調だったのですが、国内外の論文や文献からヒントをいただき、HPA軸に負担をかけないように生活改善しているうちに、1.6μm/dLだった自発コルチゾールが基準値まで回復し、服用開始から1年半後の2023年11月に断薬することができました。この病気は国内の情報が少ないので、欧米の研究やアドバイスを参考にしながら、長期的に副作用がなく元気で過ごせるライフスタイルで寛解を目指しています。

診断前の経緯

2017年頃から体調が悪くなり、何かをきっかけに、ひどい消化器症状・160bpm超の頻脈・90%以下の低酸素・呼吸困難・収縮期(高い方)が70mmHg台の低血圧・声が出なくなるといった症状に悩まされていました。原因が特定できず5年ほど医療機関を彷徨い、その間に何度も救急搬送されましたが、副腎皮質機能低下症の診断には至りませんでした。

あまりに頻繁だったせいで、「またこの人か」と顔を覚えられるほど、救急隊員さんにも認識されるようになっていました。声も別人のようにかすれてしまい、周囲の人にはほとんど聞き取れないほどでした。その頃は「病院のすぐ近くに引っ越したい」と真剣に思うくらい、体調がどうにもならない状態でした。

初期の頃は、調子が良いタイミングで運動ができていましたが、運動後や夕食の数時間後に体調が急変していました。運動誘発性アナフィラキシーや、検査で見つからないアレルギーの可能性を考慮し、救急外来で抗ヒスタミン薬やステロイドの点滴を何度か受けました。点滴後、しばらくすると何事もなかったかのように回復したため、ステロイドが効くということだけは分かっていました。

ただ、ステロイドは多くの症状に効くため、副腎皮質機能低下症の診断には至りませんでした。

日に日に症状は悪化し、指の関節痛や全身の筋肉痛・原因不明の発熱・動けないほどの倦怠感が現れるようになりました。いつの間にか眠ってしまったり、寒さに耐えられなくなり、食欲も減って体重が落ち、常に低血圧が続くようになりました。手に負えないアレルギー症状や呼吸困難・頻脈により、動く気力もなくなり、次第に疲弊していきました。

そんな時、藁にもすがる思いで相談に行った呼吸器科の開業医のM先生が、喘息患者のコルチゾール値に興味を持っていたことから、たまたま私のコルチゾールとACTHを調べてくれたことで、副腎皮質機能低下症の診断に辿り着くことができました。その時のACTHは2.3pg/mL・コルチゾールは2.41μg/dLでした。

補充療法を開始すると、救急搬送されることもなくなり、数か月も経てば声も元通りに戻りました。当時は体重も激減していたため、周りの人は私のことを「もう長くないのでは」と思っていたそうです。実際に、あのタイミングで診断されていなければ命を落としていた可能性も高かったと思います。

副腎皮質機能低下症の多くは、診断がつく前にクリーゼが発症しているものの、なかなか診断に至らないのが現状だそうです。特に、私のように数値的に軽症(自発がゼロではない)の患者ほど、一般血液検査でミネラルの異常が現れにくく、所見を見逃されやすいことが原因の一つかもしれません。

診断後の経緯

ACTHが2.3pg/mL・コルチゾールが2.41μg/dLと低値なことが判明して、近くの内分泌科で負荷試験をしました。コルチゾールの基礎値は1.9μg/dL、ACTH負荷試験のコルチゾール頂値は14.2μg/dL、CRH負荷試験ではコルチゾール頂値が10.5μg/dLとカットオフ値以下で、この時点で体調がとても悪かった私はコートリル20mg/dayを処方され、服用開始しました。

専門医が不在な病院だったこともあり、今の主治医(副腎の専門医)のS先生のところに転院し、入院でインスリン低血糖試験やGHRP-2負荷試験をしても白黒付けることができず、視床下部性のACTH単独欠損症(疑)と診断されました。S先生の最初の見立ては「数値的には頓服でも良いのかも」でしたが、この時点で毎日20mgを服用しても不調だったので、減薬は難しい状況でした。

ただ、早い段階で減薬すれば自発機能を戻せる可能性があることと、ベンゾジアゼピン服薬歴のHPA軸への影響や、吸入ステロイドを合わせたことで、一時的に機能低下している可能性も考慮して、出来るところまでコートリルを減薬してみることにしました。

コートリルの服薬以外で体調を整える為に生活を見直して、負荷になるものは全て除去しました。専門医のS先生と相談しながら2.5mg/dayまで減らすことができ、その後は活動量を増やす為に2.5〜5mg/dayで経過を見ていました。コルチゾールは常にギリギリだったので、S先生から「足りない時は飲んで良いので上手く調整してね」と言われてました。

半年くらい経過した頃に、服薬なしのコルチゾール基礎値が12.7μg/dLまで回復したので、試しに断薬してみたところ、頓服でも過ごせるようになりました。同時に吸入ステロイドを1吸入づつ、最後は隔日にして漸減して、4ヶ月後にゼロにする事ができました。

原因と回復

私はなぜ副腎皮質機能低下症になったのか、明確な原因はわからないまま闘病し、少しずつ回復してきました。

記憶を辿ると、アメリカから帰国した13歳頃から午前中だけ体調が悪くなる日が増え、習っていたバレエが突然踊れなくなり、学校へ歩いて行くのも困難になり、タクシーや車で送迎してもらうこともありました。

それでも、調子が良い時期はペース配分をしながら、人並みの8割くらいのポテンシャルで過ごせていたと思います。20代の頃は「たくさん眠る」ことでバランスをとっていた記憶です。

その後、再び午前中に調子が悪くなる時期になり、夜に眠れなくなりました。その対処として、医師の父から睡眠導入剤を半錠ずつ手渡しで処方され、2〜3ヶ月ほど服用していました。ところが、その頃から体調不良が増え、後になって薬の成分を調べると、それがベンゾジアゼピン系だったことがわかりました。

同じ時期に混合性頭痛が悪化し、その対処として飲んでいた薬も、調べるとベンゾジアゼピン系でした。今思えば、これも私の体調悪化の要因のひとつだったのかもしれません。

それでも、運動を始めたことで体調が安定する時期もありました。ジムに通いながら、週3回のキックボクシングを8年間続けるほど元気になり、大好きなワインも楽しんでいました。

しかし、2017年に熱の出ない呼吸器感染症にかかり、咳が止まらなくなりました。喘息と診断され、呼吸器の状態が悪化し、点鼻薬・吸入ステロイド・マクロライドなどを使用して治療してました。後になって調べたところ、ステロイドの効果を増強させるCYP3A4阻害薬もあったことがわかりました。

その頃から、頻脈・コントロール不能な消化器症状や呼吸困難に悩まされました。

世の中がコロナ禍になった頃に、コロナかどうかは不明ですが、何らかの感染症にかかったことをきっかけに、体調がさらに悪化しました。熱が無いのでPCR検査ができず、確認はできていません。

試行錯誤を続ける中で、グルテンフリーを試してみたところ、少しずつ体調が改善しました。この頃からの経緯は、プロフィールにも記録しています。

それなりに安定していたものの、インフルエンザの予防のために摂取したワクチンと、2021年7月13日にコロナのワクチンを接種したことで、体調が手に負えないレベルまで悪化しました。

つまり、私はコロナ後遺症やワクチン後遺症の可能性もあったのかもしれません。

というよりも、もともとHPA軸が弱かったところに、ベンゾジアゼピン系の薬・吸入ステロイドと併用薬に加え、感染症やワクチンが長期的な悪化要因として重なったのではないかと思っています。

ただ、私は医療機関でコロナやワクチンの話をしていません。海外ならともかく、日本の医療機関ではコロナやワクチンの話をすると、まともな医療が受けられなくなる可能性があるからです。

原因が何であれ「体調を良くすること」が最優先だったため、副腎皮質機能低下症として、「きちんとした内分泌科」で治療を受けました。主治医に任せきりにせず、欧米の最新情報を自分でも学び、治療の参考にしたことで、少しずつ回復することができました。

並行して少しずつ体調を整えながら、原因となっている可能性のある薬剤をひとつひとつ見直し、最終的に全て断薬することができました。

ワクチンを打ったこと自体に後悔はありませんし、ワクチン後遺症だと思ってもいません。もし打っていなかったら、副腎皮質機能低下症に辿り着けず、HPA軸が弱い体質だった事に気づかないまま過ごしていた可能性が高いからです。

私は13歳から何度も体調の波を経験してきましたが、副腎皮質機能低下症の診断をきっかけに、自分の行動や選択に矢印を向けて、ライフスタイルを見直したことで、心身ともに健康な状態を手に入れることができました

これからの人生は、薬だけに頼らず、日々の生活習慣や環境を整えながら、自分の体と向き合い、無理なく健康を維持していきたいと思います。

私がこの病気の闘病で参考にした文献の中から、調整や回復に役立った情報は、Hindmarshの書籍Husebyeの論文に詳しく書かれています。特に、CBGの影響を考慮し、CYPの影響を理解すること、そして「off the table」というリスクを避ける視点は、欠かせない要素でした。その他、体調が安定しなかった時期や、コートリルの減薬でつらさを感じていた時期、闘病中の健康維持のために役立ったものもまとめています。

原因不明の体調不良が始まってから8年3ヶ月、 副腎皮質機能低下症と診断されてから2年9ヶ月、 コートリルを頓服に切り替えて1年4ヶ月(514日)、 そして喘息の治療で数年使用していた吸入ステロイドを断薬してから1年ほど、それなりに健康的に過ごせています。 最近のコルチゾール基礎値は10.2μg/dLで、引き続きS先生に経過を見ていただいてます。

感想・コメント・質問などがありましたら、お気軽にメッセージください。

主な経緯
  • コートリル抜きの結果のみ
主な経緯
2025年2月19日
  • ACTH 12.8pg/mL
  • コルチゾール 10.2μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年11月13日
  • ACTH 11.8pg/mL
  • コルチゾール 9.7μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年9月18日
  • ACTH 15.1pg/mL
  • コルチゾール 11.6μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年7月17日
  • ACTH 13.2pg/mL
  • コルチゾール 6.4μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年5月15日
  • ACTH 8pg/mL
  • コルチゾール 9.8μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年3月14日
  • ACTH 10.2pg/mL
  • コルチゾール 9.0μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2024年1月25日
  • ACTH 16.8pg/mL
  • コルチゾール 10.9μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
2024年1月11日
  • ACTH 12.1pg/mL
  • コルチゾール 8.1μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2023年12月11日
  • ACTH 9.7pg/mL
  • コルチゾール 12.7μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
2023年11月22日
  • コートリル断薬成功(0mg/day)
2023年11月9日
  • ACTH 28pg/mL
  • コルチゾール 10.8μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
  • 数値から回復の可能性を考慮して断薬OKの指示
  • コートリル減薬(5mg→2.5mg→1.25mg/day)
2023年9月20日
  • ACTH 13.4pg/mL
  • コルチゾール 11.5μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
2023年5月15日
  • ACTH 5.5pg/mL
  • コルチゾール 8.9μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2023年1月13日
  • ACTH 7.6pg/mL
  • コルチゾール 8.4μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
  • 活動量を増やしコートリル調整(2.5〜5mg/day)
2022年12月22日
  • コルチゾール 7.3μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
2022年11月9日
  • 婦人科系の手術
2022年10月11日
  • コートリル減薬(2.5mg/day)
2022年10月8日
  • コートリル減薬(3mg/day)
2022年9月27日
  • ACTH 13pg/mL
  • コルチゾール 5.5μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2022年9月19日
  • コートリル減薬(5mg/day)
2022年8月17日
  • コートリル減薬(7.5mg/day)
2022年7月29日
  • コートリル減薬(10mg/day)
2022年7月26日
  • グルテンー&カゼインフリーに変更
  • 食材をフルオーガニックに
  • スキンケア製品を精査
  • 服用している薬を精査して減薬
2022年7月19日
  • コートリル減薬(12.5mg/day)
2022年7月15日
  • ACTH 8.2pg/mL
  • コルチゾール 1.6μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
  • 副腎皮質機能低下症と診断
2022年7月14日
  • 検査入院
  • ACTH 12.5pg/mL
  • コルチゾール 2.9μg/dL(基準値6.2μm/dL〜)
2022年7月6日
  • コートリル減薬(15mg/day)
2022年6月24日
  • コートリル服用開始(20mg/day)
  • 睡眠環境の改善
  • グルテン&デイリーフリーに変更
  • 食材をほぼオーガニックに
2022年6月20日
  • ACTH 1.9pg/mL
  • コルチゾール 2.1μg/dL(基準値4.5μm/dL〜)
2022年6月4日
  • ACTH 2.3pg/mL
  • コルチゾール 2.41μg/dL(基準値6.24μm/dL〜)
2021年7月13日
  • 安定していた体調が悪化
2020年10月15日
  • グルテンフリー開始
  • 体調が少し緩和
2017年
  • 体調不良が始まる

闘病日記 by ここ プロフィール