Hintコートリルの飲み方 必読

少し前の日本では、コートリルを多めに処方されていたこともあった(=参考)ようですが、最近は「多くても15mg/day」とされていて、特に日本人女性なら、それより少ない量でも十分(=参考)いう見方が広まってきています。

とはいえ、体の状態は人それぞれです。たとえば、他の病気を抱えている方や、過去にコートリルを長く多めに飲んでいた方、副作用で糖尿病などを発症してしまった方などは、「一般的な量」では安定せず、「増量対応」が必要になるケースもあるようです。ただ、これはあくまで限られた一部のケースに当てはまる方法です。

ここで気をつけたいのは、「一般的な量」で安定できる人が、そういった「増量対応」をしている人の飲み方をそのまま真似してしまうことです。

コートリル10mgを服用すると、血中のコルチゾール濃度は一時的に36μg/dLを超えることもある(=参考)とされています。もし必要以上に飲んでしまうと、血中濃度のピークが高くなりすぎて、その後の“リバウンド”で、コルチゾールがほとんど存在しない“空白の時間”が生まれてしまうことがあるそうです(=参考)。

そうなると、不足による不調が起こりやすくなったり、そのタイミングで強いストレスがかかると、副腎クリーゼのリスクが高まることもあると言われています。だから、コートリルは少なすぎると不調になりますが、逆に多すぎても、かえって体調のコントロールが難しくなることがあるんですよね。

また、コートリルは一度増やすと、減らすのが難しくなる薬です。本当に「増量対応」が必要な状態でない限りは、「一般的な量」にとどめておくことが、体調を安定させるうえでも大切だと思います。

日内変動と補充量日内変動と補充量のイメージ(=参考

もう一つ大事なのが、本当にコルチゾール不足なのか、それとも生活習慣や食事の乱れによる不調なのか──その見極めです。これは、内分泌の先生だけでは難しいこともあるので、受診日に不調を伝えると、「念のため多めに服用」という話になりやすく、他にできることが限られている中での判断なので、結果的に「増量対応」につながってしまうケースも多いのではないでしょうか。

本当にコルチゾールが不足しているなら、それが正しい対応ですが、もしそうでない場合は、補充量がどんどん増えてしまうことにもつながります。そうならないためにも、ふだんから近くの内科クリニックや漢方外来などで、「コルチゾール不足ではない不調」を整えておくことも、大切だと思います。

欧米の治療方法

欧米の体験談でも言われているように、まずは睡眠や食事、生活習慣を見直してみると、「増量対応」しなくても過ごせると言われており、多くの患者さんがそうした工夫を心がけているようです。実際に、私も同じ方法で増やさずに過ごせるようになり、逆に少なめの補充で維持できる体質になりました。

そして、この「一般的な量」で維持しているうちに、「あれ?もっと減らせるかも」という体感になって、自然と少ない量でも過ごせるようになり、結果的に「頓服」や「少なめで微調整」まで進める人も存在します。なので、欧米では多くの患者さんが「適量模索」を行っています。

欧米には、私のように「頓服」や、「少なめで微調整」の方だけじゃなく「フル補充」の方もたくさんいらっしゃいますが、「フル補充」の方も含めて、毎日運動したり仕事をバリバリこなしたりしながら、幸せな家庭を持ったり、ほぼ健康な人と変わらない体調を保っている人も、たくさんいらっしゃいます。

そのために何より大事なのは、「コートリルの飲み方を間違えないこと」です。 生涯にわたって「必要最小限の量」で体調を保っていけるように、主治医とよく相談しながら、自己判断での増量を避けつつ、自分に合ったペースや量を見つけていけることが、安定した暮らしを支える大切な土台になると思います。

2025.6.18 掲載

国内外の情報・論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を記録しています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、気づきや視点は「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。