FAQ
質問への回答
副腎皮質機能低下症の闘病に関する質問と「体験談としての回答」をまとめました。
ご質問はメッセージから受付しています。
- Q.コートリルを朝1回の服用にしたあとは、どのように体を慣らしていけば良いですか?
- 朝だけの服用に移行したあとは、数日間は安静に過ごし、体を慣らす期間を取りました。時々足りなくて追加する事もありましたが、徐々に1回の服用に慣れて行きました。その後、朝の量を少しずつ減らしていく流れでした。
- Q.コートリルは粉と錠剤、どちらの形が良いですか?
- 一般的には、錠剤の方が安定しやすく、持続時間も長いとされています。粉にすると吸収が早く効き目が出やすい反面、持ちが悪くなるとも言われています。湿気の影響も受けやすいため、特別な事情がない限りは、多少形が不ぞろいでも錠剤のまま使用する方が扱いやすいと感じている方が多いようです。
- Q.朝1回の服用に切り替えるタイミングはどう判断すれば良いですか?
- 私の場合は、主治医から朝1回の服用にするよう指示があり、体調の良いタイミングを見て、「基本は朝1回+不調時に追加」という形に移行しました。記録を見返してみると、トータル10mgになったタイミングで朝のみの服用に切り替えていました。それまでは、朝10mg+昼2.5mgを服用していました。
- Q.小さな単位のコートリルはどうやって作ればいいですか?
- コートリルは1錠が10mgなので、半分で5mg、1/4錠で2.5mg、1/8錠で1.25mgというように調整します。1.25mgのような小さい単位は、うまく切れないこともあるため、2.5mgを少しずつ削って調整する方法もあります。削った粉は破棄するか、必要に応じて他の場面で使えるようにしておく方もいます。「コートリルの割り方」にピルカッターを使った分割方法を解説しています。
- Q.喘息悪化でプレドニンを頻繁に服用しているので、副作用や副腎機能抑制のリスクが心配です
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プレドニンは強力な抗炎症作用を持つ一方で、副作用も強く、コートリルと比べて抑制力が高いため、必要最低限の使用にとどめることが理想です。プレドニンに頼る機会を減らすためには、前もって体調を整え、炎症を悪化させない工夫をすることが大切です。例えば、喘息の誘因を避ける、日常的に炎症を抑える対策を講じるなど、予防的なケアが重要になってきます。
また、喘息治療におけるプレドニンは、本来、他の治療法で効果が見込めない場合の最終手段とされています。特に、副腎機能が低下している場合は、プレドニンの使用が副腎機能へ影響を及ぼすため、「炎症を抑えるために副腎機能を犠牲にする手段」とも言えます。そのため、どのタイミングでどの程度使うかを慎重に考え、できる限りコートリル以外のステロイドを使わずに管理する方法を探ることが重要になりそうです。
詳しくは、以下の記事でステロイドの作用や喘息との関係について解説していますので、参考にしてみてください。
ステロイドの作用と副作用
喘息とコルチゾール - Q.コートリルは他のステロイドと比べて副作用が少ないですか?
- コートリルは「一番自然に近いステロイド」と言われているので、プレドニンなどの強いステロイドに比べると、代謝合併症が少ないとされています。そうだとしても、国内の推奨量は15mg/day以下で、小柄な女性はもっと少なくても良いと言われています。もし、それ以上の量を処方されている場合は、早めに主治医に相談してみると良いかもしれません。
- Q.婦人科の症状が落ち着いた経緯は?
- 私は子宮筋腫と子宮腺筋症があります。食事の改善で痛みはほぼなくなりましたが、出血量が多く、止血剤を使うこともありました。経過を見ていたところ、子宮体がんの検査で偽陽性が出てしまい、追加の検査が必要になりました。その検査と治療を兼ねて全面掻爬(そうは)を行い、その結果、出血量が8割減り、体調管理がしやすくなりました。子宮筋腫は今もそのままありますが、生理トラブルは緩和したまま過ごせています。
- Q.副腎機能が回復傾向にある中で、手術などの治療はどのタイミングで進めるべきですか?
- 手術を行う場合、ステロイドを数日増やす必要があります。副腎機能が回復傾向にあるタイミングで、多めのステロイドを入れることがどのような影響を与えるかは不明です。特に欧米では「回復中の段階ではむやみに増量しないほうが良い」という意見もあるようです。そのため、治療を進めるタイミングについては、現在の副腎機能の状態や体調を考慮しながら慎重に判断するのが良さそうですね。
- Q.コートリルとロキソニンを併用しても大丈夫ですか?
- ステロイドを常用している場合、NSAIDs(ロキソニン・ボルタレン)は慎重投与が必要な薬剤(off the table)です。特に消化管出血・消化性潰瘍・胃腸障害・腎機能への影響が懸念されるため、頻繁に使用するのはリスクがあります。ただし、単発の使用であれば重大な副作用が起こる可能性は低いと思います。体調や副腎機能の状態によって影響が出ることもあるため、できれば胃薬(PPIなど)を併用する、空腹時を避ける、頻繁に使用しないといった工夫をしたほうが安心ですね。
- Q.おすすめのお茶や果物はありますか?
- 私は、漢方外来の先生のアドバイスで水滞(体内の水分バランスの乱れ)を考慮し、普段はお茶を習慣にしていません。どうしても飲む必要がある時はカフェインレスのコーン茶やほうじ茶を選ぶことが多いです。果物は、なぜか体質に合わなくなってしまい、普段は食べていませんが、ベリー類やリンゴはビタミンや食物繊維が豊富なので、機会があればたまに食べています。また、糖分が高いものやカリウムを多く含むものは、本当に少量にとどめるようにしています。その代わり野菜は結構食べています。どんな食材でもそうですが、同じものをたくさん食べすぎないように気をつけています。
- Q.グレープフルーツや柑橘類はコートリルに影響しますか?
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はい、グレープフルーツにはCYP3A4酵素を阻害する作用があり、コートリル(ヒドロコルチゾン)の代謝を遅らせる可能性があります。これにより、血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まることがあるため、服用前後の摂取は避けた方が良いとされています。また、グレープフルーツ以外にもフラノクマリン類を含む以下の柑橘類(ライム・ダイダイ・シークワーサー・スウィーティー・はっさく・ブンタン・河内晩柑・不知火(デコポン)・ネーブル・オレンジなど)も、薬の代謝に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
一方、温州みかん・カボス・バレンシアオレンジ・マンダリンオレンジ・日向夏・レモン・ゆず・リンゴ・ブドウなどは相互作用の心配が少ないため、過度に気にする必要はありません。心配な場合は、コートリル服用の前後は柑橘類の摂取を控えることで、影響を避けることができます。
- Q.負荷試験を控えています。正確な数値を出すために服用を控えるべきか迷っています。
- コートリルは18時間前までに服用を終えれば、翌朝の検査に影響しないと言われています。体調コントロールが難しい場合は、私なら効果を感じる最低限の量を前日の朝まで服用するか、休める環境であれば安静にして回復することも検討します。あと、コートリルだけに頼らず、電解質や栄養を意識して食事から回復をサポートするのも一つの方法でした。
- Q.コートリルもテーパリングした方が良いのでしょうか?
- 量と期間によってはテーパリングが必要になることもあります。減らしてみて離脱症状が出る場合は、無理に断薬せず、徐々に減らす方が安心かもしれません。ただ、頓服として短期間で使用する場合は、速やかに中止した方が良いこともあるので、病状に応じて柔軟に服薬計画を調整しています。
- Q.不調になってしまった場合、夜でも頓用を寝る前に服用して回復を優先した方が良いのでしょうか?
- 眠って回復できるレベルなら飲まず、翌日に持ち越しそうなレベルなら夜に少量を飲むようにしていました。私の場合、翌日に影響が出るときは、そもそも入眠自体が難しくなることが多かったので、それを目安にしていました。
- Q.コートリルの減薬を開始しようと思います。いつどんなふうに始めたらいいですか?
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減薬の基本は1〜2週間ごとに10%ずつ減らす「テーパリング」です。現在の服用量から1.25〜2.5mg単位で減らし、1〜2週間ごとに体調を確認しながら調整します。開始する時期は特にストレスが少なく、体調が安定している期間を選ぶのが理想ですが、私は11月に回復の兆候を捉えたので、その直後に開始して成功しました。
詳細な減薬の進め方について詳しくはこちらに記載しています。
- Q.コートリルを飲んだり飲まなかったりは良くないですか?
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コートリルの服用方法は、副腎機能の状態によって異なります。副腎不全が確定している場合は、毎日一定量の補充が必要で、「飲んだり飲まなかったり」は推奨されません。ただ、副腎機能がある程度保たれている場合は、必要なときに補充し、不要なときは飲まない頓服の方が、体の自己調整能力を維持しやすい可能性があります。
ただ、服薬開始後にゼロにできない場合でも、2.5〜5mgの少量で様子を見ながら調整することで、回復できることもあります(私の場合がそうでした)。服薬方法について様々な意見を聞くことがありますが、自分の状態に近い人の経験を参考にすることが大切です。
- Q.頓服でコートリルを5mg服用したら嘘のように楽になりました。次の日はどうすればいいですか?
- 私なら、体調が戻っていればゼロに、少し不調が残っていれば2.5mgで様子をみる、という形で調整します。それでもダメそうなら2.5mg単位で調整します。ただし、コートリルは体の負担にも関わるため、無理に減らしすぎず、ご自身の体調をよく観察しながら調整することが大切です。
- Q.コートリルを頓服として使用するのはアリですか?
- コートリルは頓服として使用しても効果があり、むしろ軽症の場合は頓服の方が副作用リスクが少なくて良いとも言われています。毎日決まった量を飲むよりも、必要な時に使う方が「体が本来持つホルモン分泌能力を温存できる」ため、軽症の方には適した方法と考えられます。ただし、頓服が適しているかどうかは個人の状態によるため、自己判断ではなく医師の指導を受けることが重要です。
- Q.コートリルを飲むと元気になるので、調子が悪いときに飲んでも大丈夫ですか?
- コートリルを飲むと、一時的に体が楽になったように感じることがありますが、不必要に服用すると、体本来のホルモン分泌が抑えられ、副腎の機能低下につながる可能性があります。そのため、「元気になるから飲む」という使い方は危険です。また、コートリルはエネルギーを使う日だけ頓服的に使うことも可能ですが、どの程度の量をどんなタイミングで飲むのが適切かは医師と相談するのがベストです。
- Q.コートリルを長期間飲み続けると副腎が回復しなくなるって本当ですか?
- 不必要に長期間・高用量で服用すると、副腎の働きが低下し、自己でホルモンを分泌する能力が戻らなくなるリスクがあります。そのため、最低限の量での使用が推奨されており、軽症の場合は「頓服での使用」も選択肢の一つとされています。ただし、個々の状態により適切な服用方法は異なるため、自己判断せず、必ず内分泌科に相談してください。
- Q.昼前のコルチゾールが基準値以下でした。副腎不全ですか?
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副腎不全の診断には、単に血中コルチゾールの値を見るだけでは不十分です。朝(8~9時頃)のコルチゾール測定やACTH負荷試験が必要になります。特に、負荷試験を行うことで副腎の反応を確認できるため、より正確な診断につながります。診断には専門的な知識が必要なため、内分泌科への受診が必要です。
診断について参考までに、こちらにまとめています。
- Q.コルチゾール不足やステロイドの副作用で眠れません
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欧米では、睡眠に悩む人が、食事や生活習慣の工夫で改善を試みるケースが多く見られます。薬を使う人もいますが、日本に比べると少数派です。栄養面では、食品からマグネシウムやメラトニンを摂取する人が多く、環境調整や瞑想を取り入れる人もいます。
- マグネシウムを含む食品:ナッツ類・ほうれん草・バナナ・ダークチョコレート
- メラトニンを含む食品:タルトチェリー・くるみ・ブドウ・キウイ
また、夜間の血糖値スパイクが睡眠を妨げることがあり、高タンパクの軽食を取り入れる人もいます。ナッツ類・ピーナッツバター・糖分控えめのプロテインドリンクなどが選ばれています。コルチゾールが不足すると眠りに影響を及ぼすため、微量を補うことで改善するケースもあるようです。
- Q.インフルエンザ後の喘息でプレドニンを服用した後に地獄のような辛さを感じました。
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プレドニン服用後の強い不調は、副腎機能が低下しているところに離脱症状が加わった可能性や、副腎皮質機能低下症の症状の一部である可能性も考えられるのかもですね。ステロイドを服用すると、副腎の働きが一時的に抑えられるため、急に減らしたり中止したりすると、ホルモンのバランスが崩れ、強い倦怠感や体調不良を引き起こすことがあります。
症状が長引く場合や強く出る場合は、医師に相談し、ステロイドの減量方法や副腎機能の状態を確認してもらうと安心です。
- Q.コートリルは新しいものの方が効きが良いですか?
- 一般的には、使用期限内であれば大きな効果の差はないとされていますが、保存状態や製造からの経過時間によって、体感的な違いが出ることはありえるらしく、主治医の話では新しいものの方が効きが良く、時間と共に効果が低下する可能性があるとのことです。もし「なんとなく効きが悪い」と感じる場合、新しいものに切り替えてみて違いを確認するのも一つの方法かもしれません。
- Q.CRH負荷試験の頂値が18μm/dL以下でも、ACTHが正常なら機能低下と診断されませんか?
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CRH負荷試験でコルチゾール頂値が18μm/dL以下だった場合、副腎機能低下症に当てはまるのかどうかは、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の値や他の検査結果とあわせて判断されます。ACTHが正常な場合、必ずしも副腎機能低下症と診断されるわけではないようです。
ACTH負荷試験は「副腎が正常に働いているか」を調べる検査で、CRH負荷試験は「下垂体が適切にACTHを分泌できているか」を確認する検査です。ただし、診断は単一の検査結果だけで決まるわけではなく、症状や他のホルモン値を総合的に考慮して医師が判断します。内分泌の検査は、明確に白黒つけるのが難しい部分もあるようです。
- Q.吸入薬のステロイドで体が楽に感じることはありますか?
- 私も吸入薬を使っていたとき、ステロイドの効果で体が楽に感じることがありました。ただし、吸入薬の使用が長期間続くと、副腎の機能が抑制される可能性もあります。実際に、吸入薬を見直すことで副腎機能が改善したケースもあります。吸入ステロイドと副腎機能の関係について詳しく知りたい方は、吸入薬と住環境も参考にしてください。
- Q.ITT(インスリン負荷試験)って何ですか?
- TT(インスリン負荷試験:Insulin Tolerance Test)は、インスリンを注射して血糖値を意図的に低下させ、その際に分泌されるホルモン(コルチゾールや成長ホルモンなど)を測定する検査です。この検査は、副腎皮質機能低下症(アジソン病など)や下垂体機能低下症の診断に用いられます。通常、血糖値が下がると体はストレス反応としてコルチゾールや成長ホルモンを分泌しますが、これらのホルモンが正常に分泌されない場合は、ホルモン分泌機能に問題があると判断されます。
- Q.コロナ感染後、体調不良が長引くことはありますか?
- 私も、まだコートリルを飲んでいなかった頃に感染症(コロナかは不明)にかかった際は、長く体調不良が続きました。でも、補充を始めてからインフルエンザやコロナに感染した際は、後遺症もなくスムーズに回復しました。コルチゾールが不足していると、感染後の回復にも影響するのかもしれませんね。
- Q.倦怠感が長引いています。このまま回復していくのでしょうか?
- 基礎的にコートリルを服用していない状態では、倦怠感が続く可能性があります。また、私のように少量のコートリルを服用することで体調が安定するケースもあります。ただし、これは実際に試してみないと分からない部分もあり、個人差もあるため、事前に明確な判断をするのは難しいかもしれません。
- Q.診断がつかない段階で感染症にかかった場合、どう対応すればいいですか?
- まだ詳しい診断がついていない場合、感染症やケガ、事故などに備えて、あらかじめ予備のコートリルを処方してもらうか、病院に連絡すれば対応してもらえるよう手配しておくと安心です。ただ、私の場合はそのような対応がなく、緊急時には救急搬送されるしかなかったため、不安を感じることも多かったです。
- Q.視床下部の数値が悪いと回復は難しいのでしょうか?医師がはっきりした答えをくれず不安です。
- 私自身も視床下部の検査数値が低下していましたが、回復することができました。治るかどうかは経過を見ながら判断する必要があるので、医師の慎重な対応は適切だと思います。実際、私も回復の兆しが見えるまでは「回復は難しい」と言われていました。
- Q.精神的ストレスにはコートリルが必要ですか?
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Peter C. Hindmarshの副腎不全の補充療法の書籍には、精神的ストレスも場合によってコートリルが必要と書かれていました。5〜10分間だけの突発的なストレスには不要で、それ以上の時間でも解決できない場合は、コルチゾールに影響するって理論だそうです。
精神的ストレスとコルチゾールいついては「メンタルの影響とHPA軸」にも記載しています。
コルチゾールが低いとストレス耐性も下がってしまうので、健康な人よりも精神的からのダメージ受けやすいのかもしれません。工夫できるとすれば、ストレスを受け流したり、躱わしたり、糧にしたりできる心を育てる事も良いと思っています。
- Q.コートリルを追加する目安を決めていますか?
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日本のガイドラインの補足文献には、吐き気・嘔吐・腹痛・筋肉痛・関節痛・疲労感・高熱・低血圧・意識障害などの症状が2つ以上ある場合は、副腎クリーゼの可能性があると定義されています。また、欧米の副腎クリーゼの見分け方の資料には、コルチゾール不足と副腎クリーぜの症状が図解されています。
コルチゾール不足と副腎クリーゼのボーダーラインと追加の目安は、人それぞれだと思いますが、私の場合は「症状が複数揃った時(私の場合は3つ以上)・意識朦朧の時・脈や呼吸に症状が出た時・少し休んでも悪化する時」をボーダーラインにしています。ただ、午前中をゆっくり過ごして乗り切れば、午後からは自力で回復できる事が多いので、なかなかヤバい体調で動かなければならない時以外は、活動量を落として過ごしています。
あと、副腎クリーゼの見分け方にまとめていますが、「元気をブーストする薬ではない・多くても少なくても良くない・全ての不調に効く訳ではない・活動量にあわせて追加が必要・相性の悪い薬や成分に注意する・休める時は休んで補う事も必要」も重要だと思っています。
コルチゾール不足と血糖値にも記載していますが、血糖値もコルチゾール不足の目安になるので、病院に救急搬送された場合の副腎クリーゼの判断にも、血糖値を参考にしている様です。食生活が整っていて、血糖値の推移が安定している方の場合は、血糖値を通してコルチゾール不足を予測できるケースもあって、私はかなり参考になっています。
- Q.コルチゾール不足の症状があるのに診断に至りません
- 欧米(特にイギリス)ではCBGへの影響を考慮して、負荷試験の6週間前から、数値に影響を及ぼす可能性のある薬やサプリを停止して、正しく検査できるように整備していて、日本の文献でも同様の記述を見かけるようになりました。服薬されている薬の影響で、本当は副腎皮質機能低下症と診断されるはずのケースが、正常と診断されている事もあり、その逆の可能性もある様です。詳しくはコルチゾールに影響する成分にまとめています。
- Q.体調が悪くなる理由がわかりません
- 体調が悪くなる原因を探って解決する事で、コートリルを増やさずに、上手くコントロールができるようになる事もあると思います。その為に欧米の方々がやっている事のひとつに、服薬と症状のレコーディングがあります。 私も初期の頃から、服薬量・追加の有無と量・追加の理由・1日の体調メモ(朝の症状・日中の状態・睡眠の質)・イベント・血圧と脈を、症状日記と称して毎日記録して、判断する材料にしていました。
- Q.下垂体性か視床下部性か判明していない状態だと不利ですか?
- 私も同様に、下垂体性か視床下部性か判明していない状態ですが、もし検査をしても、できる事は補充療法の一択です。なので入院して負荷試験を繰り返す利点があるのか不明です。そもそも内分泌の負荷試験は、色黒つけにくいケースもある様です。ただ、原因不明の場合(特に続発性)は回復のチャンスもゼロではない様です。
- Q.コートリルの持ちが悪くて困っています
- コートリルの持ちが悪い場合は、併用している薬を精査してみると解決する場合があります。もし影響がある薬剤があり、それが必要な薬でも、服薬のタイミングを工夫する事で、コートリルの利用能が上がる可能性もあります。あと、腸内環境の改善も重要です。薬の併用についての精査は、誘導薬と阻害薬(CYP450)を考慮する必要があり、日本の薬剤師さんの情報では不十分でした。
- Q.コートリルを多めに服用すると効果が上がりますか?
- 熱や炎症がある時以外は、多めに服用する利点がなく、多い事によって早く効果が切れてしまう事もあります。コルチゾールの血中濃度が16~18μm/dLを超え始めると、CBGが飽和状態になる事から、遊離コルチゾールの量が増加しますが、これは肝臓と腎臓によって非常に簡単に除去されてしまうため、実際に補充される総コルチゾールの量は、摂取量に比例して増加する訳では無く、閾値(16~18μm/dL)よりも多く取り込まれる事が無いというメカニズムです。詳しくは「コルチゾールとCBGの影響」に記載しています。
- Q.ビタミンサプリは体調管理に有効ですか?
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欧米の副腎皮質機能低下症の方は、血液検査で不足している栄養素に限りサプリメントを服用することがありますが、過剰摂取による副作用があるため、実際に不足していないものは服用しない方が良いと認識されています。
ビタミンA:頭痛・めまい・吐き気・肝臓障害・骨の脆弱化・皮膚の乾燥・脱毛
ビタミンD:不整脈・腎機能障害・食欲不振・嘔吐・筋力低下
ビタミンE:出血リスクの増加・疲労感・吐き気・消化器症状
ビタミンB6:神経障害・しびれや痛み・運動失調
ビタミンC:消化器症状・吐き気これらのビタミンは、適切な量を守って摂取すれば健康に役立ちますが、サプリメントなどで過剰に摂取すると、体に害を及ぼす可能性があります。また、CYP(シトクロムP450)酵素への影響も考慮することが重要です。
- Q.コートリルは水以外で飲んでも良いですか?
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コートリルは、主にCYP3A4により代謝されるので、グレープフルーツジュースは禁忌になっています。グレープフルーツ以外にもフラノクマリン類が含まれている柑橘類(ライム・ダイダイ・シークワーサー・スウィーティー・はっさく・ブンタン・河内晩柑・不知火(デコポン)・ネーブル・オレンジなど)は、薬剤への影響が報告されています。
その他、ポカリスエットで薬を飲んでもいいですか?という質問に、大塚製薬の公式サイトでは「ポカリスエットで医薬品を服用することは避けてください。」と回答されています。また、アクエリアスで薬を飲んでもいいですか?という質問に、コカコーラジャパンの公式サイトでは「お薬は用法用量に従って、水・または白湯でお飲みください。」と回答されています。
- Q.体調が不安定でも何か運動する事は可能ですか?
- 副腎皮質機能低下症で運動に取り組む方々は、日頃のコントロールが良好な事が前提な様ですが、コントロールが不安定な方が運動する場合にも、段階的運動療法というものを用いて、2年かけて少しづつ安全にパフォーマンスをあげる方法があるそうです。詳しくは「コルチゾールと運動」と「欧米のコントロール方法」に記載しています。
- Q.2.5mgや1.25mgのコートリルを作る方法をおしえてください
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国内ではコートリル10mgが最小単位になっているのですが、5mgや2.5mgだけではなく、1.25mgで微調整する事も多いので、ピルカッターや糸切りハサミなどを使って作っています。
最初の頃は、5mgの時はピルカッターで半分に割っていて、2.5mgは調剤薬局の方にお願いして作ってもらっていました。それ以下の2mgや1.25mgなどの場合は、糸切りハサミなどで微調節しています。ピルカッターだけでも、丁寧に割れば小さなコートリルが作れるので、「コートリルの割り方」にその方法を解説しています。
- Q.生理の時はコートリルを追加しますか?
- 私の場合、子宮腺筋症を持っているので、出血量がとても多くなり、激しい痛みが出る事があります。その場合は、カロナールなどの鎮痛剤やトラネキサム酸などの止血剤で症状を緩和してみて、それでも出血量や痛みなどからコルチゾール不足による体調不良になりそうな時だけ、見合った量のコートリルを追加するようにしています。毎日コートリルを服用するようになってからは、出血や痛みも緩和したように感じているので、ほとんど追加する事なく過ごせています。
- Q.血糖値スパイクの症状と対処法を教えてください
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私は糖尿病ではないのですが、コルチゾールが作れない事で血糖値コントロールが弱くなる体質なので、なるべく血糖値が上がりすぎない様に工夫することで、急降下して低血糖になる事を防げています。
もし血糖値スパイクからの低血糖になった場合は、スポーツドリンクやラムネで回復させています。そもそものコルチゾールが足りてない事で血糖値を保てなくなっている時は、一時的に血糖値を持ち上げたとしても、リバウンドしてまた低血糖を起こすので、ラムネなどと一緒にコートリルも追加して対処しています。詳しくは「第19話「低血糖対策」」に記載しています。
ちなみに欧米では、副腎皮質機能低下症の体調維持は、Hindmarsh教授の研究からヒントを得て、低血糖と血糖値スパイクを防ぐ事が一番大事で果がある方法と言われています。血糖値の影響については、情報と日記に記録しています。
- Q.グルテン・カゼイン・カフェインを控えると不調が改善されますか?
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副腎皮質機能低下症でも、そうでない場合でも、グルテン・カゼインが体の負担(炎症)になっている体質の方と、そうでない方が居ると思っています。私の場合は効果があったので継続していて、副腎皮質機能低下症でも一定数の方が暮らしやすくなっている印象です。
欧米の医師の指導で、サラセミア(鉄が過剰になる病気)の患者への指導で、「食事中にお茶を飲んで鉄分の吸収を下げる」「鉄分を排出するように、カフェイン・乳製品を摂る」という方法があるそうです。逆に、サラセミアではない場合は貧血になる可能性があり、カフェインは脱水・電解質異常になる可能性もあり、血糖値にも影響するので、コルチゾールの無駄使いになる場合もあるようです。
同じHPA軸の機能障害からのヒントとして、ハーバード大学医学部が出版しているManaging and Recovering from Long COVIDを購入して読んでみたところ、グルテン・カゼインを除去する事について記載されていて、海外の副腎皮質機能低下症の自然療法(おそらく軽症者やグレーゾーン向け)でも、一般的なアレルギーや過敏症を招く食品・毒素・化学物質を取り除く事で、体の自然な回復をサポートするという取り組みがある事からも、自分の体質にあった食事内容で、体が楽になる可能性はあると思っています。
- Q.コルチゾール不足の時に他の持病も悪化してしまいます
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コルチゾールが生命維持の方に優先的に使われて、もともと弱い場所の炎症を抑える分が足りなくなって再燃してるという話が書籍に書かれていました。そうだとしても、コルチゾール不足と定義されている症状以外にコートリルを入れる事を否定的な先生方が多い印象なので、私はそれぞれの症状にあった方法で対処しています。場合によっては単発のステロイドで炎症を抑える事もあります。コートリルは割と何にでも効いてしまうので、あらゆる不調に使ってしまい、依存しないように運用する事が大事だそうです。
参考までに「第52話「炎症と副腎機能」」に副腎不全のフロー図をまとめています。
- Q.コートリルを服用しても体調が良くなりません
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睡眠や食べ方を見直してみると、体調が安定する事もある様です。私の場合は、朝の血糖値が基準値でも、食べた後に血糖値がアップダウンしやくす、それでコルチゾールの無駄使いをしてしまうというケース(血糖値スパイク)でした。血糖値をなるべくフラットに保つように意識するだけで、コルチゾールを無駄に消費しにくくなり、不調が少なくなる事もある様です。また、夜中に低血糖になっていると、眠りが浅くなってしまい、コルチゾールが効率的に作れないからか、翌日に不調になっている事もあるので、睡眠の質は結構重要です。
ちなみに欧米では、副腎皮質機能低下症の体調維持は、Hindmarsh教授の研究からヒントを得て、低血糖と血糖値スパイクを防ぐ事が一番大事で果がある方法と言われています。血糖値の影響については、情報と日記に記録しています。
- Q.コートリルを服用すれば元の健康状態に戻りますか?
- 副腎皮質機能低下症の情報ページには、適切な補充療法を続ける事で、良好な一生を過ごす事ができると記載があるのですが、実際はホルモンコントロールは難しく、なかなか整えるのが大変だと思っています。同時に、比較的元気に過ごしてる方も存在しますし、私自身も健康だった頃の7割〜9割くらいのポテンシャルで動けていて、体調がとても良い時は、健康だった事とほとんど変わらない状態で過ごせています。体調が良くなるまで数ヶ月〜1年くらいかかると言われている方が多い印象で、発病してから診断までにかかった期間と比例しているという体験談も多くあります。
- Q.コートリルの減薬がうまくいきません
- ステロイドは急に減らす事ができない薬なので、副腎が健康な人でも、ルールを無視した減薬をすると、副腎不全に繋がります。副腎皮質機能低下症の場合、そのリスクは健康な人よりもさらに高く、生命の危険が伴う事なので、主治医の許可と指導のもと、数値を参考に進めて行く事が大前提です。主治医のサポートがあったとしても、細かい体調の変化に対応する事が必要です。詳しくは、英語圏の論文の内容を要約した「補充療法の漸減アプローチ」と、「第25話「減薬と維持量」」や、「調整・減薬」の関連記事にも記載しています。
- Q.副作用を予防する方法はありますか?
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コートリルは10mg飲んで10μm/dL補充される訳ではなく、空腹時に服用した場合は一時的にかなり血中濃度が上がります。クッシング症候群の定義では、血中コルチゾール濃度が30µg/dLを超えた状態が長く続くとリスクがあると記述されているので、データに基づき、なるべく血中濃度をなだらかに保つようにするように、毎朝補食した後の服用や、推奨服用量の定義の範囲内での服用で、副作用を予防しています。私自身、2023年11月時点で1年半ほど服用していますが、ムーンフェイス・体重増加・糖尿病・高脂血症など、ステロイド特有の副作用は全くありません。
英語圏の副腎皮質機能低下症のコミュニティでは、コルチゾール結合グロブリン・ステロイド様作用のリスク・CYP450(シトクロムP450)の影響も考慮して副作用の予防を心がけている様です。
- Q.最小限のコートリルで過ごす方法はありますか?
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コートリルは、我慢や気合いで少なくするのは現実的ではなく、理論的に最小限に出来る唯一の方法(今のところ)は、CYP450(シトクロムP450)を考慮する事で、研究者も参加するコミュニティも含め、ほとんどのコミュニティでCYP450の話題が出ている(検索してみました)事からも、副腎皮質機能低下症のコントロールには欠かせないと認識されている様です。
英語圏の副腎皮質機能低下症のコミュニティでは、コルチゾール結合グロブリン・ステロイド様作用のリスク・CYP450(シトクロムP450)の影響も考慮する事で、コルチゾールの生物学的利用能を100%に近づけて、最小限の補充で過ごす事を目標にしている方が増えてきている印象です。
- Q.副腎クリーゼ(急性副腎不全)ってどんな症状?
- 副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは、副腎の機能が急激に低下することで、生命の危険に曝される状態で、脱水・血圧低下・血糖低下で意識障害を呈し、ショックに陥り死に至ります。詳しくは「副腎クリーゼの見分け方」に参考例を記載しています。
- Q.副腎不全ってどんな症状?
- 副腎不全とは、副腎から分泌されるコルチゾールの低下により、全身倦怠感・腹痛・悪心・嘔吐・消化器症状・体重減少・精神機能低下・低血圧・低血糖・耐寒性低下などの状態になり、早い段階で適切な治療をしない場合は副腎クリーゼに繋がります。
- Q.副腎皮質機能低下症ってどんな病気?
- 副腎皮質機能低下症とは、副腎から分泌されるコルチゾールが少なくなってしまう病気です。易疲労感・全身倦怠感・腹痛・悪心・嘔吐・消化器症状・体重減少・精神機能低下・低血圧・低血糖・耐寒性低下など、様々な症状が出てきますが、いずれも非特異的な事から、不定愁訴や他の病気と診断されているケースも多く、また、診断の基準になるコルチゾール値も、血液検査の一般項目に含まれていない為、なかなか診断に繋がらないのが現状です。生涯にわたりコルチゾールの補充が必要で、治療が軌道にのった後も、負荷やストレスにさらされた際には副腎不全を起こして重篤な状態に陥ることがあるため、日々のイベントに応じた服薬の調整が不可欠で、治療が遅れれば生命にかかわる病気です。