Hintビタミンの効果と副作用

ビタミンCが副腎でのコルチゾール合成を助け、ストレス応答や代謝調整に役立つ可能性があることはよく知られていますが、欧米で補充療法をしている方の多くは「ビタミン剤やサプリからの摂取」を控えています。

コルチゾール補充療法を行っている場合、ビタミンやサプリメントの摂取が自己調節機能(ホメオスタシス)に影響する可能性があるとも言われています。そのため「良かれと思って摂っていたサプリが、かえって体調を不安定にしていた」という声も多く聞かれ、薬剤からの摂取を避けて、食事から自然に取り入れることを大切にしている方が多いようです。

一方で、テーパリング中(減量中)や回復期には、ビタミンCやB12が「一時的な大きな助け」になることもあります。体験談の中には、炭水化物代謝やインスリン抵抗性の改善、反応性低血糖の解消につながり、体調維持のために飲んでいたスポーツドリンクが不要になった、という方もいました。ただし、こうした効果はあくまで一時的であり、サプリや薬剤の服用が副腎の負担になる可能性もあります。そのため、摂取期間を「2週間限定」として取り入れるケースが多い印象です。

また、ビタミン剤やサプリには意外と副作用があり、その症状はコルチゾール不足と似ていたり、過剰時の症状はコルチゾール過剰と重なることもあります。そのため、原因を見分けにくく、結果的に補充量の調整を誤るリスクにつながることもあります。こうした点からも、基本は食事から自然に取り入れるのが安心と言われています。

ビタミン剤のリスク
ビタミンによる毒性(過剰症)

脂溶性ビタミン(A、D、E、K)は体内に蓄積しやすく、過剰になると中毒症状が起こるリスクがあります。たとえばビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症を引き起こし、腎臓や血管へのダメージ、筋力低下などの要因になり得ます。ビタミンAを慢性的に摂りすぎると肝障害や骨の代謝異常、骨粗しょう症につながる可能性があるとも言われています。(参考:wikipedia

水溶性ビタミンでも例外はあり、ビタミンB6(ピリドキシン)の過剰摂取では末梢神経障害を引き起こす「メガビタミンB6症候群」が知られています。慢性あるいは大量摂取で手足のしびれや灼熱感が出て、補給を中止しても回復に数ヶ月かかることがあるそうです。(参考:wikipedia

代謝やホルモン調整機能への影響

HPA(視床下部ー下垂体ー副腎)軸のホメオスタシス(恒常性)にはビタミンも関わっており、欠乏だけでなく過剰もバランスを乱す可能性が示唆されています。(参考:Science Direct

医療現場・専門家からの注意喚起

医師や専門家からも、脂溶性ビタミンの過剰摂取による毒性や、ミネラル過剰のリスクについて注意喚起がなされています。不足や過剰が心配な場合は血液検査などで確認し、必要に応じて医学的な判断を仰ぐことが大切です。(参考:TOIEating Well

食事からの摂取の大切さ

ビタミンCやB12を摂る場合は、薬やサプリよりも食事からの摂取の方が吸収率や利用効率が高いと言われています。食事からの摂取は副作用の心配が少なく、安心して毎日の生活に取り入れられるのも良いところです。例えば、ビタミンCを豊富に含む食品には、柑橘類・緑黄色野菜・赤ピーマンなどがあります。こうした食品を普段の食事に組み込むだけで、自然な形で補うことができます。

サプリに頼りすぎるリスク

一番避けたいのは「薬やサプリを飲んでいるから大丈夫」と思い込んでしまい、食事がおろそかになって栄養が偏ることです。実際には、薬やサプリから想定するほど効率的に吸収されないことも多く、食事からの摂取が不足していると、かえって体調が不安定になることもあります。

副腎皮質機能低下症では、栄養状態が体調に直結します。日々の食事からビタミンを摂り、ビタミン以外の栄養バランスも一緒に整えることが、低リスクで無理なく続けられる方法だと感じています。

参考資料

Vitamin C is an important cofactor for both adrenal cortex and adrenal medulla
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15666839/

2025.1.16 掲載

欧米のコミュニティや患者さんが執筆した書籍では、具体的で実践的な知恵がたくさん紹介されています。このブログでは、そのなかから「病院では教えてもらえない工夫」を学び、自分でも試して効果を感じられたこと、そして病気のメカニズムに関する理解を深めた内容を記録しています。
副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、その他の情報は「Misc」にまとめています。また、メッセージ経由でいただいた質問の一部は、「FAQ」にまとめています。
読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。