第80話「ドライアイ対策」

副腎皮質機能低下症とは特に関係がないと思っていたドライアイですが、長年、良くなったり悪くなったりを繰り返す中で、偶然見つけた欧米の副腎皮質機能低下症患者によるドライアイの治療法や対策についての意見交換の記事が印象に残っています。

一般的なドライアイの概要

ドライアイは、「涙が少ないタイプ」「涙は出るけれど質が悪いタイプ」「涙腺に炎症があるタイプ」といった、いくつかの原因に分類されるそうです。それぞれのタイプに合った対策を取ることで、より効果的に症状を改善できる可能性があります。

  • 涙が少ないタイプ:涙の分泌量が不足しているため、人工涙液をこまめに補うことが基本です。また、加湿器の使用やドライアイ用のメガネを活用して、外部からの乾燥を防ぐことが有効です。
  • 涙は出るけれど質が悪いタイプ:涙の蒸発が早く、目を潤す効果が不十分なことが原因です。このタイプには、オメガ3脂肪酸を積極的に摂る食事や、目を温めて油分の分泌を促すケアが効果的とされています。
  • 涙腺に炎症があるタイプ:アレルギーや感染症による炎症が原因で涙の分泌が低下している場合があります。このタイプは、環境を整えたり、炎症を抑えるケアを行うことで症状の改善が期待できるそうです。
コルチゾール不足による影響

コルチゾールは体内で炎症を抑えたり、水分バランスを維持したりする大切なホルモンです。このホルモンが不足すると、間接的に炎症や脱水を引き起こし、目の粘膜や涙液の質に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、欧米の副腎皮質機能低下症患者さんの中には、コルチゾール不足によってドライアイや視界のぼやけを訴えるケースが少なくないそうです。

薬の副作用にも注意

抗ヒスタミン剤・抗うつ薬・降圧薬など、一部の薬には涙の分泌を抑える副作用があると言われています。私自身も以前、PPIやベンゾジアゼピン系の薬を服用していた際に、目の乾燥が悪化した経験があります。薬の副作用が疑われる場合は、医師に相談して薬を見直すことが症状改善の一助となるかもしれません。

水滞や腎虚の影響

東洋医学では、ドライアイの原因に水滞や腎虚といった体質的な要因が関係していると考えられています。水滞とは、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が溜まることで必要な場所に水分が行き渡らなくなる状態を指します。この状態は主に冷えによって引き起こされることが多く、冷えによって血行が悪くなると、水分代謝が滞りやすくなります。その結果、涙の分泌や質が低下し、蒸発しやすくなるため、ドライアイを引き起こすことがあるそうです。

冷やさない心がけ

また、冷たい飲食物の摂りすぎや胃腸の働きの低下も水滞を悪化させる原因とされているため、体を冷やさないように心がけ、血流を良くすることが改善のポイントになります。ただし、「冷やさない」と「温め続ける」は別物であり、「ずっとこたつに入っている」ようなライフスタイルは、かえって代謝を滞らせ、ドライアイに良くない可能性があります。「冷やさない」とは、適度に体温を維持しつつ、血流を促して代謝を維持することです。

治療法と意見交換

欧米では、ドライアイ対策としてさまざまな治療法について意見交換が行われているようです。特に、防腐剤フリーの目薬や涙管閉鎖(涙を排出する管を閉じて涙を目に留める治療)、オメガ3脂肪酸の補給などの対策が注目されています。また、重度のドライアイに効果が期待される血清目薬も話題になっており、実際に効果を実感している方もいるようです。ただし、費用が高額であることに加え、日本ではまだ導入されていないため、手軽に試すことは難しいのが現状です。

私に有効だった対策
  • 適切な室内環境の維持(湿度40~60%をキープ)
  • バランスの良い食事(オメガ3脂肪酸を豊富に含む青魚・ビタミンAを含む緑黄色野菜)
  • 目元の温活(毎晩のメイクオフ時に温めたコットンで目元をケア)
  • 冷え対策(体を温める食材を摂り、甘いもの・カフェイン・濃い飲み物・冷たい飲み物を控える)
  • 適度な運動(筋肉を動かし、体の熱産生を促進することで冷えを根本から改善)
  • 冷えに効くマッサージ(経絡治療で血行を促進し、冷えを和らげながら全身の巡りを整える)
  • 防腐剤無添加の点眼や化粧品(防腐剤入りの製品は、炎症やリバウンドを引き起こす)
  • 薬の精査(ドライアイの悪化につながるPPIやベンゾ系の薬は服用しない)
  • 漢方薬のサポート(水滞や腎虚の改善を目的とした漢方薬を服用)

いくつかの目薬を試してみた中で、私の場合はムチン入りの目薬を使うとなぜか悪化することがありました。一方で、ヒアルロン酸配合の目薬は濃度が高いものよりも薄い0.1%の方が効果を感じられたため、こちらを使用しています。また、症状がひどいときには軟膏タイプを使うことがありましたが、今では使わなくても良い状態を保てています。

薬の副作用によってドライアイが悪化することもあり、薬剤師さんの話では、副作用は添付文書に記載されているものだけでなく、記載がなくても個人差で起こる場合があるそうです。私自身も薬の影響で悪化した経験があるため、薬を使用する際は副作用に気を配るようにしています。

また、目の周りに使う基礎化粧品やメイクも、防腐剤が入っていないものを選ぶようにしており、特にドライアイがひどいときは低刺激なものを使うことで目の負担を減らすことを心がけています。

東洋医学では、ドライアイの原因となる水滞は、甘いものの過剰摂取による水分代謝の低下や、カフェインによる利尿作用で体内の水分バランスが崩れ、必要な水分まで失われることで悪化すると考えられています。私の場合も甘いものやカフェインを控えた食生活の改善がドライアイの症状改善に役立っています。(参考:漢方外来のM先生のアドバイス


ドライアイ対策は「すぐに治す」というよりも「日々の積み重ねで少しずつ改善していく」ものですが、ちょっとした工夫を取り入れるだけでも症状が和らぐことが多いと感じています。私自身も、こうした対策を続けるうちに昼間のドライアイはほとんど気にならなくなりました。

ただ、コルチゾールの分泌が少なくなる時間帯の影響なのか、夜中だけドライアイが悪化するため、ヒアルロン酸目薬を使用しています。この時間帯の症状も、コルチゾールの分泌が改善されれば和らぐ可能性があるため、引き続き経過を見ていこうと思います。


闘病日記 by ここ プロフィール