Misc治療カード

人は誰でも経年劣化しますし、病気が増えたり、思うように体が動かなくなったりすることもあると思います。そんなときには、どうしても薬の力を借りる場面が出てきます。でも、人間の体のしくみを考えると、薬って「いくらでも使えるもの」ではないんですよね。私はいつも、それを心の片隅に置いています。

たとえば、薬を「治療カード」みたいなものだと考えてみると──そのカードを何枚持っているかは人によって違います。腎臓や肝臓のはたらき、年齢、ほかの持病や飲んでいる薬との組み合わせなどによって、「使えないカード」や「使えるけどリスクが高いカード」も出てきます。

体って、意外と“完璧な状態”じゃないことも多いですよね。とくに副腎皮質機能低下症のような持病があると、日々の中で小さな不調に出会うこともよくあります。そこで、「どの症状に、いつ薬を使うか」は自分の判断で決めていくものだし、年齢とともに“選べる治療の幅”は少しずつ狭くなっていくかもしれません。

たとえば──軽い不調でもいつも薬を使う習慣があると、将来もっとつらい症状が出たときに、その薬がもう使えなくなっているということもありえます。それって、ちょっと困った事態になりますよね。だから今のうちに、薬を使わなくても乗り切れる場面を少しずつ増やしておく。それが、本当に必要なときのための“余白”になるんじゃないかなと思っています。

「今回はセルフケアで落ち着いた」
「運動や食事を見直して対応できた」
「薬は“最後のひと押し”として取っておいた」

そんな積み重ねが、将来、迷わず薬を使える“安心”にもつながっていくような気がしています。だから私は、なるべく薬だけに頼らずに、治せる不調は自分なりに工夫しながら整えていく──そんな姿勢を、これからも続けていきたいと思っています。

2025.6.14 掲載