Hint喘鳴がない呼吸困難
副腎皮質機能低下症の人が呼吸の不調を感じている時、それが必ずしも「喘息」とは限らず、欧米ではまったく別の病気として治療されているケースを見かけます。私の「喘鳴のない息苦しさ」も、当初は喘息として治療されていましたが、効果がイマイチな時も多く、ずっと違和感を感じていました。
私の場合は、コルチゾールの「過不足」を整えたり、生活のリズムを見直したりしていくうちに、その症状は自然と出なくなりましたが、本当の原因は何だったのか気になりますし、今後また同じような症状に悩まされないためにも、その主な原因を整理してみました。
アシドーシス
呼吸のしづらさの一因として、「アシドーシス(酸性血症)」と呼ばれる状態が関係することがあるそうです。副腎皮質機能が低下している場合、コルチゾールの不足により、体内で生じた酸(乳酸など)を十分に代謝・排出できず、血液が酸性に傾く(=代謝性アシドーシス)ことがあるそうです。日常的にコルチゾールの過不足を整えておくことが大切とされています。
電解質バランス
塩分を控えすぎると脱力から浅い呼吸になりやすく、またカリウムを摂りすぎるとナトリウムとのバランスが崩れて、筋肉のこわばりや息苦しさにつながることがあるそうです。フルドロ(ミネラルコルチコイド)を使用していた人の中には、服用を中止したことで症状が軽くなったという報告もありました。フルドロの有無にかかわらず、食事での電解質バランスの調整が症状の軽減に役立つ場合も多いようです。
鉄・フェリチン
鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの材料であるだけでなく、筋肉や神経、ミトコンドリアの働きにも関わっているため、不足すると息苦しさが現れることがあるそうです。血中のヘモグロビン値が正常でも、体内の貯蔵鉄(フェリチン)が不足している場合には、同じような症状が出ることもあります。食事による鉄分補給や、腸内環境を整えて吸収を高める工夫が、症状の改善につながることも多いようです。
浮腫や水滞
ナトリウムや水分の保持が過剰になると、体内に浮腫が生じ、肺や気道にむくみが出て呼吸の圧迫感や息苦しさにつながることがあるそうです。痰が増えたり粘ついたりする変化が現れることもあり、こうした体感は数値だけでは捉えにくい場合もあるようです。日々の食事や水分量、薬の影響を見直してバランスを整えることが予防や軽減のポイントになるといわれています。
甲状腺機能
甲状腺ホルモンは代謝や筋力、心臓の働きに関わっているため、バランスが崩れると息苦しさや胸の圧迫感につながることがあるそうです。副腎皮質機能低下症では、甲状腺機能の異常を併発している人も少なくなく、コルチゾール不足が続くと代謝が落ち、逆に補充が多すぎるとTSHやT3の働きが抑えられることもあるため、日頃からコルチゾールの過不足を防ぐことが大切とされています。
神経系の不調
肺や気道に目立った異常がなくても、うまく息が吸えない・吐けないと感じる場合、神経系や中枢の不調が関係していることもあります。たとえば、呼吸パターンが乱れて空気が入りづらくなったり、声帯がうまく開かなくなるケースなどが挙げられています。欧米ではこうした状態に診断名がつけられ、治療が行われることもあるようです。
中枢系の不調
眠っているときだけでなく起きているときにも「息を忘れる」「呼吸の指令が抜ける」ような感覚が出る場合もあり、これは気道の閉塞ではなく、脳の呼吸中枢の働きが一時的に弱まることで起こると考えられています。海外の体験談では、神経系に作用する薬で改善した例や、逆に特定の薬を中止したことで軽くなった例も報告されています。
薬剤の影響
- オピオイド
咳止めや鎮痛薬として処方されることがあるオピオイド系薬剤(コデインなど)は、脳の呼吸中枢を抑える作用があり、人によっては息が浅くなったり、呼吸の指令が途切れやすくなることがあるそうです。睡眠中だけでなく起きている時にも息苦しさや胸の圧迫感を感じることがあり、中止したら解決したという体験談も報告されています。 - ベンゾジアゼピン
抗不安薬や睡眠薬として使われるベンゾジアゼピン系薬剤も中枢神経を抑制するため、呼吸数の低下や換気不全を起こすことがあります。特に他の中枢抑制薬(オピオイド、アルコール、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬など)との併用や、睡眠時無呼吸症候群がある場合にはリスクが高まります。 - 高用量のステロイド
稀ではありますが、ステロイドの副作用からの「気管支痙攣」や、心臓のポンプ機能の低下などが原因で息苦しさにつながるケースも報告されています。また、高用量や長期の使用では、筋力の低下(呼吸筋も含む)や体液バランスの変化によって、間接的に呼吸がしづらくなることもあります。
呼吸の不調は「多因子的」
副腎皮質機能低下症のように、身体のバランスが崩れやすい状態では、ひとつの原因だけで息苦しさが起きているとは限らず、コルチゾールの過不足や電解質、神経系、筋力、代謝、薬の影響など、さまざまな要素が複雑に絡み合い、それぞれが少しずつ負担をかけていることも考えられるそうです。
症状をやわらげる具体的な工夫については、調べれば調べるほど多くの体験談が見つかるので、ここではいったん割愛し、あらためて整理してまとめてみたいと思います。
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※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。