Hint感情ストレスとクリーゼ
「感情的ストレスへの対処はどうすればよいか?」という課題は、副腎皮質機能低下症にとって避けて通れないテーマです。2023年の論文では、患者の父親の死という精神的ストレスがきっかけとなって、副腎クリーゼを引き起こした症例が報告されています。
発熱や感染など、いわゆる“わかりやすい身体的ストレス”は一切なかったにもかかわらず、吐き気・腹痛・低血糖(64mg/dL)といった症状が現れたそうです。経口や筋注でのヒドロコルチゾン、グルカゴン投与では改善せず、最終的にはヒドロコルチゾンとブドウ糖の持続点滴によって、ようやく回復できたとのことです。
CRP(炎症のマーカー)も正常、血糖やナトリウムが少し低めだった程度で、意識障害などの明らかな異常はありませんでした。それでも体内では、すでにクリーゼが進行していたという珍しいケースだそうです。
出典
Acute Adrenal Insufficiency Caused by Mental Stress in a Patient With Adrenocorticotropic Hormone Deficiency
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10148941/
欧米のコミュニティや患者さんが執筆した書籍では、具体的で実践的な知恵がたくさん紹介されています。このブログでは、そのなかから「病院では教えてもらえない工夫」を学び、自分でも試して効果を感じられたことを記録しています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、その他の情報は「Misc」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。