Hint感情ストレスとクリーゼ

「感情的ストレスへの対処はどうすればよいか?」という課題は、副腎皮質機能低下症にとって避けて通れないテーマです。2023年の論文では、患者の父親の死という精神的ストレスがきっかけとなって、副腎クリーゼを引き起こした症例が報告されています。

発熱や感染など、いわゆる“わかりやすい身体的ストレス”は一切なかったにもかかわらず、吐き気・腹痛・低血糖(64mg/dL)といった症状が現れたそうです。経口や筋注でのヒドロコルチゾン、グルカゴン投与では改善せず、最終的にはヒドロコルチゾンとブドウ糖の持続点滴によって、ようやく回復できたとのことです。

CRP(炎症のマーカー)も正常、血糖やナトリウムが少し低めだった程度で、意識障害などの明らかな異常はありませんでした。それでも体内では、すでにクリーゼが進行していたという珍しいケースだそうです。

[出典]Acute Adrenal Insufficiency Caused by Mental Stress in a Patient With Adrenocorticotropic Hormone Deficiency

2025.6.25 掲載

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