診断された方へ

私がこの病気と診断された頃は、体調をコントロールするための情報が少なく、病名で検索して出てきた記事を読んだり、SNSやブログの体験談を参考にしたりしながら、この病気のメカニズムについて勉強を続けていました。より具体的なヒントを求めて、欧米の副腎皮質機能低下症のコミュニティ(実名制)にも参加し、情報収集を始めたところ、欧米では論文・文献・臨床データをもとに、科学的根拠のある方法を取り入れながら比較的元気に過ごしている人が多いことがわかりました。さらに、適度な運動を習慣にしている人も多く、運動時にコートリルを追加せずに体調を維持する方法があることも知りました。

理論に基づいてライフスタイルや対処法を見直すことで、副腎不全の患者でも(他に複数の疾患を持っていない場合)、この病気の定義にもあるように「適切な治療が行われれば予後は比較的良好」という状態まで体調を改善できる可能性が高いようです。

資料

私がこの病気の闘病で参考にした文献の中から、調整や回復に役立った情報は、Hindmarshの書籍Husebyeの論文に詳しく書かれています。特に、CBGの影響を考慮し、CYPの影響を理解すること、そして「off the table」というリスクを避ける視点は、欠かせない要素でした。その他、体調が安定しなかった時期や、コートリルの減薬でつらさを感じていた時期、闘病中の健康維持のために役立ったものもまとめています。

その中から、診断された頃に知っておきたかった情報を以下にまとめました。

  1. 闘病のフェーズ

    副腎皮質機能低下症の闘病には、「診断までの道のり」「体調を安定させる」「減薬(適量模索)」「減薬(断薬)後の課題」といったフェーズがあります。日本の患者さんの多くは、2番目の「体調を安定させる」段階で試行錯誤されている印象です。
    ※詳しくは闘病のフェーズにまとめています

  2. 補充量の調整

    体重や体表面積から一律に算出された15mgや20mgではなく、体質やライフスタイルに合わせた「自分に合う量」を見つけることがベストとされています。欧米のコミュニティには減薬に特化したグループも存在し、補充量のタイトレーション(適量模索)を重視する動きがあります。
    ※詳細は、情報(調整・減薬の関連記事)日記(減薬の関連記事)にまとめています

  3. 不要な薬の精査

    コートリルと相性の悪い薬や成分、食べ物、CYPの影響を理解することは、適量模索や体調管理の重要なヒントになります。HPA軸に悪影響を与える薬や成分にも注意し、できる限り薬に頼らず、治せる不調は治すことが回復への近道です。
    ※詳細は、情報(薬の影響の関連記事)日記(減薬の関連記事)にまとめています。

  4. 血糖値の影響

    低血糖や血糖値スパイクはコルチゾールの無駄遣いを引き起こすため、その予防が体調改善に効果的です。これを繰り返すとアドレナリンが分泌されにくくなり、グリコーゲンによる血糖値の上昇効果が低下して、ますますコントロールが難しくなります。低血糖の緊急対処として「ブドウ糖」や「甘い食べ物・飲み物の摂取」がありますが、これを日常的に習慣化すると血糖コントロールが悪化する原因にもなります。
    ※詳細は、情報(血糖値の維持の関連記事)日記(低血糖の関連記事)にまとめています

  5. シックデイの対応

    シックデイ時の補充は、通常の1日量の2倍が目安ですが、CBGの影響を考慮して「一度に2倍量を服用する」のではなく、「24時間かけて2倍にする」ことが推奨されています。主治医の指示に従い、MAX量の範囲内で対応し、もし大幅に超えた量を服用する場合は、かかりつけ医に連絡するか最寄りの救急外来を受診するよう指導されているはずです。
    ※詳細は、情報(シックデイの関連記事)日記(シックデイの関連記事)に記録しています。

国内の公式情報
セミナーまとめ

第5回大阪下垂体セミナー(2025.03.14)
令和6年度市民公開講座(2025.02.08)
第13回市民公開講座(2024.12.15)
オンライン医療講演会(2024.12.08)
下垂体ミニレクチャー(2024.07.07)
下垂体の市民公開講座(2024.03.16)

診断・治療ガイドライン

ガイドラインの補足文献(2024.06.13)
ガイドライン2023年版(2024.03.19)

日本の研究・論文

ステロイドホルモン学会(2025.03.23)
低用量補充の検討について(2024.08.05)
CBGや薬剤の影響(2024.06.01)
間脳・下垂体・副腎系研究会(2024.03.18)

その他、欧米の論文や研究からのヒントもあわせて参考にしています。
論文・研究の記事一覧

※補足として文献参考のヒントに、文献の信頼性を判断する目安を記載しています。

闘病日記 by ここ プロフィール