Misc副腎疲労の対策からのヒント

副腎皮質機能低下症の患者として体験談や集めた情報を発信をしている中で、副腎疲労という言葉を耳にする機会があるので、少し理解を深めてみました。

副腎不全(Adrenal Insufficiency

副腎不全は、副腎が十分な量のホルモンを分泌できない状態を指します。特に、コルチゾール(ストレスホルモン)やアルドステロン(塩分と水分の調整を行うホルモン)の不足が問題で、適切な治療をしない場合は、命に関わる「副腎クリーゼ」になる可能性があります。

副腎疲労症候群(Adrenal Fatigue

副腎疲労症候群は、慢性的なストレスによって副腎が疲れ、コルチゾールの分泌が減少するという理論に基づいています。科学的な証拠が不足しており、医学的には正式に認められていない概念※1で、多くの医師や専門家は、ストレスやライフスタイルの影響による不調とみなしています。公式な診断基準は存在しないので自由診療(保険適用外)です。

副腎疲労症候群をHPA軸の機能障害として解釈している情報※2には、うつ病やPTSDなどの強いストレスでコルチゾール過多になり、HPA軸の負のフィードバック機能が追い付かない状態が続くと、HPA軸の反応性が弱くなり、日内変動が乱れてしまうという概要でした。海馬の神経細胞を傷つけ、BDNFの量を急速に減少させるという報告もあるそうです。

  1. [参考]Adrenal fatigue does not exist: a systematic review(副腎疲労症候群は存在しない:系統的レビュー)
  2. [参考]「副腎疲労症候群・HPA軸の機能障害」検査や受診、食生活で副腎をケアする方法 – 国立消化器・内視鏡クリニック
コルチゾールに影響する要素

何らかの負荷がかかった場合、副腎疲労症候群では過剰にコルチゾールが分泌される事を予防して、副腎不全ではコルチゾール不足を予防する違いはありますが、コルチゾールに影響する要素は共通して定義されています。

資料[出典]「副腎疲労症候群・HPA軸の機能障害」検査や受診、食生活で副腎をケアする方法 – 国立消化器・内視鏡クリニック

慢性的なストレスや炎症(炎症性の病気・皮膚炎・糖尿病・喘息など)はもちろんのこと、血糖値の急激な変動も、コルチゾール不足の原因です。また、肥満(内臓脂肪過多)は、糖尿病の予防でまとめた通り重要で、血糖値の急激な変動(血糖値スパイク)を引き起こしやすくなります。

栄養とサプリ

トリプトファンと副腎クリーゼにまとめた通り、HPA軸の機能障害がある場合は、低量のトリプトファンにも過剰に反応する傾向がある為、サプリではなく食事からの適量の摂取が大切な様です。

ビタミンB群やビタミンCもバランス良く摂取するメリットがありますが、ビタミンCはインスリン感受性を改善する作用があり、高濃度ビタミンC点滴が副腎クリーゼのきっかけになったという体験談も存在します。

なので、第5話「欧米の情報」にも書かれている様に、ビタミンC欠乏症や、食事から十分に摂取できない場合を除いて、なるべく食事からの適量の摂取がベストで、サプリよりは処方薬の方が安心かもしれません。

適度な運動

コルチゾール過多による海馬やBDNFの状態を改善する為には、コートリルの過剰投与からの脳へのダメージのリスク軽減と同じく、HPA軸を整える理論と方法でまとめた科学的にエビデンスのある方法が役立ちそうだと思いました。

注意点

副腎不全の場合、適切な治療をしない場合は急性副腎不全(副腎クリーゼ)になって生命に関わる状態になるリスクがあるので、その疑いがある場合は必ず専門の医師に相談することが重要です。

副腎疲労症候群は、治療と称してコートリル(ステロイド)を服用すると、HPA軸の機能が弱り、副腎不全になってしまう可能性もある事を注意喚起されている内分泌医※3もいらっしゃいます。

  1. [参考]副腎疲労症候群は存在しない病気!ステロイド服用の危険性について – 中野駅前内科クリニック糖尿病・内分泌内科
改善しない場合

副腎疲労症候群として治療を受けても改善が見られず疑問を感じる場合や、ステロイドを処方される場合には、過去に内分泌科で診断されなかったとしても、再検査によって診断がついたり、グレーゾーンとして経過観察になる可能性も考えられます。

というのも、欧米にはコルチゾールに影響する成分の情報があり、採血前の一定期間は除去するようにしているそうです。体に入れている薬や成分を確認して、正しく診断される環境を作っておく事も大事な様です。

どちらにも属さず、医学的に病気と定義されず診断に至らない場合でも、未病のような状態が存在するのは事実だと思います。副腎皮質機能低下症と似た症状がある場合は、何らかの理由でHPA軸の機能障害が起きているケースも考えられます。

似た病状の方々へ
https://cocolifestyle.net/hpaaxis

アシュワガンダについて調べてみました

2024.9.16 掲載

国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。