Misc副腎不全とダイエット

副腎皮質機能低下症があると、短期間で体重が増減することがありますが、それは必ずしも脂肪や筋肉の変化によるものではなく、多くの場合、水分バランスの変化が関係しています。

そもそも「太る」とは脂肪が余分につくこと、「痩せる」とは脂肪が減ることを指します。そのため、水滞による浮腫みで体重が増えたのを「太った」、脱水で体重が減ったのを「痩せた」と勘違いしないことが大切です。

短期間での体重増減の多くは、ホルモンや水分、食事の影響を受けやすく、急なコルチゾール不足が起こったり、汗をかいたり塩分を調整したりすることで、一時的に体重が変動することがあります。ただ、それは一時的な変化であり、脂肪や筋肉の増減とは異なります。

副腎不全の人は、コルチゾール不足によって筋肉が落ちやすく、適切な体重維持が難しいこともあります。補充のステロイドが多すぎると浮腫みやすくなり、長期的には筋肉が減って脂肪が増えることで太ることもあります。

また、脂肪が多くなるとインスリンの働きが悪くなり、低血糖になりやすい体質になるため、副腎皮質機能低下症の人にとってデメリットになることもあります。

低体重の方が健康的に体重を増やすには、単に脂肪分やカロリーを摂取するのではなく、たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しながら、筋肉を維持・増強することが大切です。適度な運動と栄養管理を組み合わせることで、筋肉と脂肪をバランスよくつけることが健康維持につながります。

健康的な体を維持するために
  • 食事だけでなく、軽い運動を取り入れ筋肉量を維持する
  • 短期間の体重変動に一喜一憂せず、長期的な視点で体を整える
  • 水滞と本当の体型変化を区別し、数字ではなく体の状態を見る
  • 補充療法を適切に調整する
ダイエットって何?

日本では「ダイエット=減量」と考えられがちですが、本来のダイエットは「理想的な体型を作ること」を指します。欧米では、筋肉を増やす「バルクアップダイエット(bulking diet)」や、体を引き締める「カッティングダイエット(cutting diet)」など、目的に合わせたダイエット法がたくさん存在します。

体重が変化したときは、その要因が水滞によるものなのか、それとも脂肪や筋肉の変化によるものなのかを見極めて、一時的な体重増減にとらわれず、目的に合ったアプローチを選びながら、健康的な体を維持していくことが大切です。

2025.2.14 掲載