Note誘導薬と阻害薬(CYP450) 重要

コルチゾールに影響する物質について触れたように、コートリルは併用注意に定義されていなくても、害を及ぼす薬や成分が多く存在するという情報を知りました。また、コートリルの説明書のコートリルの説明書にも「本剤は、主にCYP3A4によって代謝される」と記載されていたため、CYP3A4について調べてみました。

CYP3A4って何?

CYP3A4はシトクロムP450の一部の、薬物代謝・コレステロール・ステロイド・他の脂質の合成に関与する酵素で、約500アミノ酸残基から構成されています。薬物代謝は第Ⅰ相反応と第Ⅱ相反応に分かれており、CYPは主に第Ⅰ相反応の約80%に関与しています。現在見つかっている約50種類のCYPのうちのひとつがCYP3A4です。

肝臓に存在するCYPの大部分を占めるCYP3A4は、医薬品の50%以上の代謝に関与する主要な酵素であり、小腸にも存在するため、グレープフルーツジュースのCYP3A4阻害作用にも影響しています。CYP3A4の阻害薬や誘導薬がコートリルの薬物代謝に与える影響が大きいため、欧米の方々は服用している薬やサプリとの相互作用を必ず確認しているようです。

[参考]Drug Interactions Flockhart Table – Clinical Pharmacology School of Medicine
[参考]Flockhart Table – EDS

※良さそうな日本語版の阻害薬と誘導薬の一覧をみつけたらリンクを追加します

CYP3A4は50%以上の医薬品において「効果が高まりすぎる」や「効果が薄まってしまう」といった影響を与える可能性がありますが、体質やライフスタイル(食べ物からのCYP3A4)によって影響が大きく異なるため、全ての服用者が該当する薬を除去しなければならないわけではないようです。しかし、CYP3A4について理解することで「どんな薬にも副作用がある」ということを実感するためか、欧米では、服用する薬を最低限に抑え、薬以外で体調をコントロールする方法を取り入れる人が多い傾向があります。

誘導薬と阻害薬

CYP3A4誘導薬(コルチゾール低下薬)は、コートリルや一緒に服用している薬の効果を低下させるため、コートリルの効き目が早く切れる体感となり、結果としてコートリルの量が増えたり、追加が必要になるタイミングが増える可能性があります。逆に、CYP3A4阻害薬(コルチゾール上昇薬)を使用すると、コートリルや併用薬の効果が長引き、薬剤の血中濃度が高くなり、副作用のリスクが上がる可能性があります。

薬の効果のイメージ

実際に、生理的な補充量にもかかわらずクッシング症候群の症状が出ていた方が、CYP3A4阻害薬であるグレープフルーツジュースを徐々に減らし、最終的に除去したところ、症状が消え、体調のコントロールが良好になったという体験談も見かけました。


このメカニズムを理解できたことで、欧米の方々が「薬やサプリ、食品の精査が重要」と言っている理由や、T先生が「コートリルに影響する薬がたくさんあり、人によって影響は様々だが、原因を見つけて除去するとコントロールが良好になる人がいる」と話していた科学的根拠も納得できました。

コートリルは、交差反応だけでなく薬物代謝酵素まで考慮する必要がある繊細な薬で、その管理は少し手間がかかるかもしれません。逆に言えば、服用する薬を必要最低限に絞り、不要なサプリメントも精査し、加工食品や食品添加物、化学調味料をできるだけ避けることが、この病気の定義にある「適切な治療が行われれば予後は比較的良好」という状態に体調を持ち上げるための秘訣であると解釈しています。


国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。