Noteコートリルの利用能 重要
コートリルは、小腸→肝門→肝臓→上脈→心臓(右)→肺→心臓(左)→大動脈→動脈循環→全身という流れで体が使えるようになるのですが、吸収は小腸周辺に依存しているので、効率よく取り込む為には、腸の通過時間が重要だと言われています。
Please note the amount of cortisol gained from each dose will be different in each person. There can be many influencing factors such as height, weight, absorption, clearance, half-life, the time of day the medication is administered (early morning versus late evening), other medications being taken, along with certain foodstuffs, for example, grapefruit juice, licorice and a low carbohydrate containing diet (see Chapters 10 and 13).
Hindmarsh, Peter C.; Geertsma, Kathy. Replacement Therapies in Adrenal Insufficiency (p.251). Elsevier Science. Kindle.
コルチゾールの各服用量から得られる効果は個人によって異なり、例えば、身長・体重・吸収率・クリアランス・半減期・投与される時間帯(早朝 or 夜)・他に併用している薬・特定の食品(例えば、グレープフルーツジュース・甘草・糖質制限食)など、多くの影響要因がある事が書かれています。
そこで、なるべくコートリルを効率よく利用する為に、メカニズムや概要を調べてみました。
バイオアベイラビリティ
バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)とは、投薬した薬物のどれくらいの量が全身に循環するのかを示す指標です。もしバイオアベイラビリティが50%の場合は、服薬は2倍にしなければ望んでいた効果が出ないので、例えるなら20mg飲んでも10mg分しか使えていない状態です。
コートリルは、併用する薬や腸内環境がバイオアベイラビリティに影響し、バイオアベイラビリティ・薬物の半減期・クリアランス(排出)が相互作用して、効率よく利用できるかが決まるメカニズムだそうです。
吸収や利用への影響
腸内フローラの影響
直腸の腸内フローラは、コルチゾールを代謝してしまう事が研究から解っているそうです。もし、コートリルが小腸周辺で吸収できず、腸の下の方へ移動した場合、腸内フローラの影響でコルチゾールを代謝してしまい、せっかく服用したコートリルが無駄になってしまうそうです。
胃腸の動きの影響
胃腸の動きが速すぎても遅すぎても、コートリルの吸収に影響するので、なるべくちょうど良いスピードで吸収させることが出来るように、バランスの良い腸内環境に整えておくと良いそうす。頻繁にお腹を壊してしまう体質の場合は、改善する事で吸収が良くなる可能性があるそうです。
緊急時はステロイドを座薬として入れても効果が無い(腸内フローラの影響でコルチゾールが吸収できない)ので、意識が無い緊急時の選択肢はソルコーテフの点滴や筋肉注射の一択になっているそうです。抗菌薬の影響
マクロライド(抗菌薬)はそもそもコートリルと併用注意(効果を強める可能性がある)ですが、抗菌薬全般に言えるのは、腸内フローラが減ってしまうので、コートリルの作用が強まってしまい、意図しない副作用が出る事があるそうです。
他の病気の影響
甲状腺疾患がある場合は、病状によって腸の動きが早かったり遅かったりする可能性があるので、副腎不全を患う健康な人(healthy individuals with AI)の服薬計画と同じ様には行かないそうです。また、糖尿病で起こりうる腸壁の神経損傷は、腸を通過するスピードを遅くしてしまうそうです。
食べ物の影響
コートリルは、食べ物と一緒に服用すると、空腹の場合と比べてTmax(血中濃度が最も高くなる時間)が15分ほど遅くなり、食物繊維は腸を通過するスピードを遅くするそうです。
ただ、一般的に摂食した事によるCmax(最大血中濃度)への影響はほとんど無いらしく、空腹で服用すると胃痛になってしまう人は、食後の服用や、牛乳と一緒の服用でも問題ないそうです。
糖質制限食はコルチゾールの持ちを長くし、グレープフルーツジュース(グレープフルーツ味の製品・他の柑橘系含め)・甘草・高麗人参・亜鉛・ケルセチン、一部の食品添加物などは、コートリルの作用に影響があるので注意が必要です。
個人差の影響
コートリルのTmax(血中濃度が最も高くなる時間)は個人差があり、服用後20分でピーク達成する人もいれば、180分の人もいるそうです。加えて、もともとの体質や様々な影響によって、コートリルの吸収・循環・排出のバラツキがあり「吸収が早い・排出も早い」「吸収が早い・排出は遅い」「吸収が遅い・排出は早い」「吸収が遅い・排出も遅い」「吸収も排出も良い速度」「吸収が遅い・排出は良い速度」など、多種多様だそうです。
以上の環境と個人差を考慮した場合、体重換算から算出した服薬量も適量とは言えず、人よりも服薬が少ないから副作用リスクが低いという訳でもなく、適量や最適な服薬のタイミングもそれぞれで、やはりコートリルの適量模索が必要だそうです。
ただ、現時点の日本の医療では、適量模索が一般的ではありません。
適量模索や薬の調整が難しい場合でも、腸内環境を改善する事で、バイオアベイラビリティが高くなったり、その他の影響する要素を考慮して、なるべくコートリルを効率よく取り込む工夫は、患者さん側で改善できる部分だと思いました。
国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。