第30話「コントロール」

副腎皮質機能低下症と診断されて1年が経ちました。自分にあった維持量(生涯飲み続けても副作用が出ない量)を探しながら、健康な人よりは低空飛行ですが、それなりに元気に過ごせる時間も増え、この5年間で一番コンディションの良い春を過ごすことができました。

私の場合、検査結果などから副腎の予備能が残っていることがわかっています。もしステロイドを過剰に摂取し続けた場合、副腎が萎縮して、予備能も抑制されて、更にコントロールしにくい体質になってしまうので、最小限のコートリルで体調維持をすることが、予後にも影響する大事な要素だと思っています。

負荷がかかった時は、健康な人が無意識にコルチゾールを出すタイミングで補充するのが理想的ですが、なかなか上手くできませんでした。数々の失敗から、コルチゾール不足になった原因と対処法を蓄積し、経験値を蓄えたことで、失敗する頻度を減らすことができましたが、それでも月1〜2回は、生きた心地がしない体調不良を起こしているので、上手くコントロールしていく為に気をつけたいポイントをまとめてみました。

  1. 負荷がかかる時点で補充する
  2. 本当に追加が必要なのか確認する
  3. 日内変動や血中濃度も考慮する
  4. 早めの追加だと少量でカバーできる
  5. シックディは素早く切り抜ける
  6. 眠る前に振り返って調整する
負荷がかかる時点で補充する

のどが乾く前に水分補給して脱水を予防する、のようなニュアンスですが、コルチゾールは足りなくても多くても不具合が起きてしまいます。足りない場合は更に追加はできるので、迷った時は少なめに予知的追加をして様子を見ています。追加する量は、この1年間で蓄積した経験値から、その時に最適な量を推測しています。

本当に追加が必要なのか確認する

基本ステロイドは何にでも効いてしまう薬なので、「コートリルが効く=コートリルが必要だった」と解釈しないようにしています。体調を整える上で、ステロイドを使わずに対処できることも多いので、本当にコルチゾール不足に由来する症状なのかどうか、冷静に見直すようにしています。

私の場合、指の関節痛・息切れ・動悸・吐き気・手の震え・腹痛・消化器症状が同時に複数ある時は、コルチゾール不足のサインです。対処が遅れた場合、低血圧・低血糖・ひどい倦怠感で動けなくなり、精神機能低下によって判断能力も低下してしまうので、素早く判断することが重要です。

日内変動や血中濃度も考慮する

活動量超過や負荷で追加するコートリルの量は、コルチゾールの日内変動や血中濃度に合わせて調節しています。私の場合※1、早めに対処すれば、それぞれの時間帯の上限値を超えて服用する必要がなく、感染性胃腸炎による消化器症状の時でも、合計10mgで体調を維持することができました。

  1. 副腎の予備能があり、負荷により多少ACTHやコルチゾールが反応し、血液検査で確認したところ、この時に追加したコートリルも吸収できている状態だった為。

早めの追加だと少量でカバーできる

追加するタイミングが遅くなってしまった場合、その時点で身体に負担がかかっていることから、少量の追加では回復できない状態になります。シックディとして、主治医が許可する上限(私の場合は2〜3倍量)の範囲内で様子を見て、それでもコントロールできない場合は、主治医に連絡して指示をいただくように決めています。

シックディは素早く切り抜ける

単発の増量なら副作用の心配は不要なので、体調不良が起きてしまった場合は、主治医が許可する上限(私の場合は2〜3倍量)の範囲内でブーストして、なるべく迅速に治すようにしようと思います。ついつい少量で様子みながら、長引かせてしまっているので、ここは私の改善点です。

2023.6.26追記過量が続けば感染症を長引かせる可能性があるので、ブーストで治めることができなかった場合は、早めに主治医に連絡して指示をいただくようにしようと思います。

眠る前に振り返って調整する

自分でコルチゾールを生産する為には、睡眠の質がとても重要なので、眠る前の体調が健康的な疲労感を通り越している場合、その時点で1mg程度の少量※2を追加するようにしています。夜間低血糖や睡眠の質の低下を防ぐことができ、翌日の体調不良も予防できている様です。

  1. 分包にしてもらった2.5mgを糸切りハサミなどで割って1mgを作っています。

副腎皮質機能低下症と上手く付き合っていく為には、日々の服薬コントロールだけでなく、なるべく最小限の補充量で体調維持をしていくことが重要なので、これからも情報収集を続けながら、長期的に副作用がなく元気で過ごせるライフスタイルを目指していきます。


闘病日記 by ここ プロフィール