Noteコルチゾール測定の意義

コルチゾール値は、ストレス・食事・運動・服薬・睡眠などの影響を受けやすく、朝に高く、夕方から夜にかけて低下する「概日リズム」に従って変動しています。なので、単純に数値だけで体の状態を判断するのは難しいメカニズムなことが知られています。

ただ、論文・研究・臨床データでは、副腎皮質機能低下症の状態を把握するためにコルチゾール値が重要な指標とされています。文献によると、次の点が指摘されています。

  • 服薬中のコルチゾール値では、補充療法の適切性を評価するのは難しい※1
  • 最後の補充から18時間後の早朝コルチゾール値は、回復の指標になる※2
  1. [出典]Husebye ES, Pearce SH, Krone NP, Kampe O. Adrenal Insufficiency – Published: 13 Feb 2021
  2. [出典]The Short Synacthen (Corticotropin) Test Can Be Used to Predict Recovery of Hypothalamo-Pituitary-Adrenal Axis Function – Published: 25 May 2018

その場合でも、コルチゾール値の測定状況(時間帯・ストレス・食事など)に加え、コルチゾール結合グロブリン(CBG)の影響や、薬物代謝酵素(CYP450・CYP3A4)の影響を考慮する必要があります。これらの要素を踏まえて数値を解釈することで、より正確な診断や治療が可能になる様です。

例えば、喘息の吸入ステロイドやプレドニンなどの経口ステロイドを使用している場合は、体内のコルチゾール値としてカウントされないものの、副腎機能が抑制されるため、測定値が低く見えることがあります。なので、これらの薬を除去した状態での測定が、より正確な状態把握のために必要です。

詳しくは回復の可能性についての論文にまとめていますが、もし回復を視野に入れている場合は、「最後の補充から18時間後の早朝コルチゾール値」を調べてもらう必要があります。

コルチゾール測定器

欧米ではU-RHYTHM※3の様な、リアルタイムでコルチゾールを測定できるデバイスが開発され、24時間の正確なコルチゾールの推移を把握できるようになりました。

ただ、補充療法に関しては、単なる数値の可視化だけではなく、負荷(ストレスや運動など)が同時に可視化されなければ、最適な補充の参考にはなりません。コルチゾールは多くの要因に影響されるため、数値だけで補充を判断するのは難しく、経験や感覚が重要です。

  1. U-RHYTHMは、コルチゾールなどのホルモンを24時間連続で測定できるウェアラブルデバイスです。これにより、日常の活動や睡眠中のホルモン変動をリアルタイムで把握し、副腎皮質機能低下症などのホルモン補充療法を個々の患者に最適化し、より精密な管理が可能になります。

国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。