Hint筋肉や関節の不調

副腎皮質機能低下症というと、「だるさ」や「低血圧」「低ナトリウム」などが代表的な症状として知られていますが、実はそれだけではありません。最近読んだ医学会の症例報告には、“筋肉のこわばり”や“関節の動かしにくさ”が、診断の手がかりとなったケースが紹介されていました。

原因不明の筋肉のこわばり

報告されていたのは、X-6年から体調不良が続いていた60代の男性。当初は「太ももの脱力感」から始まり、徐々に股関節の動きが悪くなり、下肢の痛みも出て、最終的には日常生活すべてが介助が必要な状態にまで悪化していました。ところが入院後、検査中に副腎不全のような症状が突然出現し、採血の結果、ACTHとコルチゾールの著しい低下が判明。ヒドロコルチゾン(コートリル)の補充を始めたところ、翌日から筋肉のこわばりが改善してきたそうです。その後の検査でACTH単独欠損症と診断され、ようやく治療の方向性が定まりました。

この報告の中では、以下のような点が強調されていました。

  • ACTH単独欠損症など、中枢性副腎皮質機能低下症では、筋肉や関節の症状が先に現れることがある
  • ストレスや処置(この例では腰椎穿刺)をきっかけに、副腎不全が顕在化するケースも
  • コルチゾール補充によって、短期間で症状が劇的に改善したことが診断のヒントになった

私たちはつい、「筋肉や関節のこわばり=整形や神経の問題」と考えがちですが、ホルモンバランスの乱れが原因となっていることもあるということですね。

資料

コルチゾールが「全身のバランサー」だとしたら、足りなくなったときに最初に不調が出るのは、その人の中でもともとバランスが崩れやすい場所なのかもしれません。私自身も、コルチゾールが不足しているときは、いつも決まって弱い部分に痛みやこわばりが出ることが多く、「なるほど、ここが“落ちどころ”なんだな」と感じるようになりました。

なので私は、整体や鍼治療であらかじめその弱い部分を整えておくようにしています。そうすると、少し無理をしてもコートリルを飲まずに乗り越えられたり、頓服の回数を抑えられることが増えてきました「足りないものを補う」ことももちろん大切ですが、「そもそも崩れにくい状態に整えておく」という視点も、私にはすごく合っているように感じています。

[出典]日本内分泌学会雑誌(2024年 第100巻)筋緊張亢進、関節拘縮からACTH単独欠損症の診断に至った一例

2025.5.18 掲載

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※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。