NoteコルチゾールとCBGの影響
コルチゾール結合グロブリン(CBG)とアルブミンとコルチゾールの事を勉強する中で、Science DirectのCortisolというページ※1に辿り着きました。そこには、血液検査で測定されるコルチゾール値が、CBGやアルブミンに結合した「結合コルチゾール(ストック)」と、結合していない「遊離コルチゾール(使えるもの)」に分かれていることが記載されていました。
例えば、経口避妊薬(ピル)やエストロゲン製剤を服用すると、CBGの濃度が上がるため、血液検査ではコルチゾール値が高くなることがありますが、その内訳を見ると、結合コルチゾールが増加し、結果として遊離コルチゾールは減少しているようです。
健康な方には特に問題ありませんが、ヒドロコルチゾン(コートリル)を服用している方の場合、より多くのコルチゾールが結合されてしまうことで、使える遊離コルチゾールが少なくなってしまいます。そのため、「血液検査のコルチゾール値が高いのに、コルチゾール不足の症状が現れる」という状況が生じる可能性があります。この場合、コートリルの用量を増やす必要がある(または、既に増えている)という仕組みのようです。
[参考]Effects of estrogen versus estrogen and progesterone on cortisol and interleukin-6
その他にもCBGに関与する薬がたくさんありますので、併用される場合はご注意ください。
また、シックデイのステロイドカバーについて、例えばコートリルを1日あたり10mgから30mgに増やした場合のメカニズムが解説されていました。
コルチゾールの血中濃度が16~18μg/dLを超え始めると、CBGが飽和状態になる事から、遊離コルチゾールの量が増加しますが、これは肝臓と腎臓によって非常に簡単に除去されてしまうため、実際に補充される総コルチゾールの量は、摂取量に比例して増加する訳では無く、閾値よりも多く取り込まれる事が無いそうです。
体調が悪いときにコートリルを2倍量にすると、おそらくコルチゾールレベルが2倍くらいになるそうですが、3倍量にしたところで、余分に摂取したコルチゾールが尿中に排出される為、血液中のコルチゾールのレベルが3倍になるわけではないそうです。
- 現在のストレス投与の推奨事項
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- National Addison’s Disease Foundation(NADF)※2
異常な仕事関連のストレス・残業・旅行・過度や激しい運動・ポジティブまたはネガティブな感情的ストレスなどは、個人や状況によって異なりますが、症状に応じて5~10mgのヒドロコルチゾンの追加が必要です。 - Extensive Expertise in Endocrinology: Adrenal crisis※3
試験や激しいハイキングなどの精神的・身体的ストレスは、イベントの1時間前に10mgのヒドロコルチゾンの追加が必要です。 - The Dutch Adrenal Network※4
試験など中程度の精神的ストレスの場合は、ヒドロコルチゾン2.5~5mg、死亡やトラウマ的な経験の場合は、毎日のベース量を一時的に(場合によっては通常量の2倍まで)増やします。 - Sick day rules※5
発熱・床上安静が必要な病気・感染症のために抗生物質が必要な時・歯科治療などの小規模な外来処置の前は2倍量のステロイドカバーが必要で、重篤な病気・外傷・持続的な嘔吐・内視鏡検査の為の絶食中・外科治療中の場合は、グルココルチコイド製剤の注射でのカバーが必要です。
- National Addison’s Disease Foundation(NADF)※2
CBGによるコルチゾールの結合は、体温にも影響されるので、発熱中は結合されるコルチゾールの量が減少し、各所で利用できる遊離コルチゾールが約3倍になって体を助けているそうです。
その他、CBGと同様に、コルチゾールの約15%がアルブミンに結合しているため、ネフローゼ症候群や肝硬変など、アルブミンに影響を与える障害を持つ患者は、検査がより複雑になる可能性がある事も記載されていました。
国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。