Hint回復後の落とし穴

欧米の患者コミュニティでは、体調維持の工夫や回復例だけでなく、再発例も共有されているので、「どんなケースがリスクなのか」「何がトリガーになりやすいのか」を学ぶようにしています。

経口ステロイドや、痛み止めのステロイド注射だけではなく、アレルギーのステロイド点鼻薬、皮膚疾患のステロイド軟膏など、さまざまな再発例がある中で、特に最近目にするのがステロイド点眼薬による再発例です。

ステロイド点眼の影響

ステロイド点眼と聞くと、一見「局所治療で軽そう」に見えてしまいますが、実際は想像以上に全身への影響が強いケースもあるようです。

たとえば、フルメトロン点眼液0.1%の場合、1滴にフルオロメトロン 0.05mg(50μg)なので、両眼に1回2滴 × 1日4回使用すると、1日あたりヒドロコルチゾン換算で約4mgに相当すると言われていて、なんとなく、実際に使ったときの体感もそれに近いものでした。

私もこの点眼薬は時々使うことがあったので、なるべく使う事態にならないようにすることと、どうしても使うときは、なるべく短期集中で治しきる意識が必要だと思っています。

さらに強い点眼薬のリンデロン点眼液0.1%になると、ベタメタゾン 0.05mg/滴なので、両眼に1回2滴 × 1日4回使用すると、1日あたりヒドロコルチゾン換算で約24mgに相当するとされています。この量は、全身投与として考えると決して軽くないようです。

中には1週間のステロイド点眼の使用で、副腎機能が再び完全に抑制されてしまったという体験談が複数あり、回復して5年以上経っていた人が、再び25mg/dayの補充が必要になったというケースもありました。

ステロイド軟膏の影響

ちなみに、以前1週間だけ皮膚に使用したクロベタゾン酪酸エステル軟膏(キンダベート)を1週間使った直後の採血で、コルチゾール値がいつもより下がっていたため、私のHPA軸も抑制がかかっていた可能性もあるのかもしれません。

再発を防ぐためにできること

こうした再発を防ぐためには、なるべく体調を安定させ、日ごろから体調を崩さないように注意することが前提ですが、治療が必要な場面でも、どうしてもステロイドを使わなければならないのかを事前に話し合うこと、処方された薬はすべて確認すること、ステロイドの量や種類も把握しておくことが大切だと感じています。

再チャレンジとその後の対策

なお、再発した方の多くは、そこから再び辛い減薬にチャレンジして、最終的に卒業されている方も多くいらっしゃいます。

減薬中は、運動ができないほどギリギリの状態になることが一般的なため、なるべく簡潔に減薬を終わらせて、ゼロミリグラムの状態に戻った後に、また運動を再開する流れをとっている方が多く、そのためには、食事・睡眠・ストレス管理などを徹底し、少しでも早く抜け出せるように対策を講じているケースが多く見られます。

まとめ

副腎皮質機能低下症の一部には、時間をかけて丁寧に減薬すれば、補充なしで暮らせる可能性があり、実際に卒業していく方も多くいらっしゃいますし、私もその1人です。今回の情報収集を通して、その過程でステロイドやその他の「HPA軸を抑制する薬剤」が入ることで、再発リスクが高まる傾向があることを、あらためて知りました。

2025.5.17 掲載

国内外の情報・論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を記録しています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Hint」へ、その他の内容は「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。