Noteメンタルの影響とHPA軸 国内

体調が悪かった頃のホラー映画を見てもコルチゾール不足になっていたという経験から、精神科・心療内科のフィールドからも元気で過ごせるヒントを得ようと思い「低コルチゾール血症をきたすストレス関連疾患とその鑑別」という資料を読んでみたので、要約をまとめてみました。

クッシング症候群や副腎皮質機能低下症のほかに、コルチゾールの過剰・減少をきたす疾患として、非定型うつ病・慢性疲労症候群・線維筋痛症・慢性ストレスの経過・PTSDなどもリストされていますが、PTSDでみられる低コルチゾール血症は、症状の改善とともに回復するという報告がある事からも、精神疾患に随伴する低コルチゾール血症は、副腎皮質機能低下症を併発しているわけではないという考え方もあるそうです。

うつ病と診断されて投薬されていた方のHPA軸の検査をしたところ、低コルチゾール・高ACTHが明らかになり、身体症状が精神科の投薬では改善できなかった方が、コルチゾール補充療法で改善したというケースや、ストレス因子などが加わると症状が顕在化する潜在性副腎皮質機能低下症というケースでは、炎症やストレスなどの原因となる病態が消失すれば回復するという報告もあるそうです。

この研究で、疲労を主訴に心療内科を受診した患者のHPA軸を検査したところ、5人に1人は副腎皮質機能低下症(視床下部)の可能性がある事が判明した一方で、過去のステロイド使用の頻度が有意に高い事から、ステロイド使用歴との関係がうかがわれたそうです。食後症候群(機能性ディスペプシア・食後不快症候群・反応性低血糖など)伴う疲労患者は、精神疾患に加え、気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性皮膚炎・自己免疫性甲状腺疾患・摂食障害などがあり、その半数はステロイド使用歴があったそうです。

これらのケースでは、副腎皮質機能低下症のアルゴリズムに沿った場合は、診断にたどり着けないケースもある一方で、ITT(インスリン負荷試験)では、この研究の対象の全例が18μg/dL未満を示し、この研究で中枢性副腎皮質機能低下症と診断した12名のうち、補充療法で治療を受けた9名は、体調が改善して職場や学校に戻ることができ、その後に減量中止できた症例も少なからずあったそうです。

医原性の中枢性副腎皮質機能低下症は、ステロイドの使用だけでなく、最近では医療用オピオイド鎮痛薬の使用も原因となりうるという報告(=Husebyeの治療推奨事項にも記載)もあり、その他、ストレスはHPA軸に大きく影響する事で、ストレスを被る期間が長くなればHPA軸そのものが疲弊する可能性があるものの、ストレスが取り除かれればHPA軸は回復する事が報告されていました。

その他、筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)も低コルチゾール血症を示す代表的な疾患で、その中に副腎皮質機能低下症が含まれている可能性は排除できないと考えられている事や、ウイルス感染症による神経細胞が障害を受けるケースとして、2002〜2003年に流行したSARSの生存者の61名の、約40%は低コルチゾール血症で、大部分はACTH低値を伴う視床下部性副腎皮質機能低下症と考えられたが、半年ごとに1μgのACTH負荷試験を行うと、HPA軸が徐々に回復することが示された事からも、コロナ感染症による後遺症も同様のケースとして研究が進められている様です。


副腎皮質機能低下症で、オピオイド系の薬を服用している方・メンタルの病気を併発している方・筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群の方・コロナ後遺症の方の参考になりそうな内容も記載されていたので、詳しい内容は原文を参照ください。

[出典]教育講演 低コルチゾール血症をきたすストレス関連疾患とその鑑別
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/63/5/63_63.5_409/_pdf

2024.1.25 掲載

国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。