Noteコルチゾール補充療法 重要
コートリルの補充療法は、増薬して多めに服用すれば、その分効果が高くなる薬では無く、概日リズム(サーカディアンリズム)を模造する事で、より自然なホルモンバランスを再現し、体調が整う治療法です。
副腎皮質機能低下症と診断され、コートリルを服用しても体調が整わない場合、単純に薬の量を増やすだけでは解決しないことがあります。明らかに不足している場合(シックデイ)などの一時的な増量は効果的なこともありますが、継続的な増量には注意が必要です。
コートリルの服用量を増やし続けると、元の量に戻すのが難しくなるだけでなく、残っている自発機能を抑制するリスクがあります。特に、健康な人が生理的に生成するコルチゾールの量(15〜20μm/dL)を超える投与は、副作用を引き起こしやすく、不調の原因が過量なのか不足なのかを判断しづらくなることもあります。
コートリルの増減は、薬が体内にとどまる時間には影響を与えず、変化するのはピーク値のみです。また、コートリルを10mg服用した場合でも、コルチゾールが必ず10μm/dL増えるわけではなく、個人差によっては一時的に30μm/dLほど上昇することもあります。
一度に多量を服用して、コルチゾールの血中濃度が16~18μg/dLを超えると、コルチゾール結合グロブリン(CBG)が飽和状態になり、それ以上吸収されずに余分なコルチゾールが速やかに排出されてしまいます。その結果、薬効の持続時間が短くなり、体調のコントロールが難しくなることがあります。
欧米のコントロール方法
欧米の患者さんの多くは、Hindmarshの「Replacement Therapies in Adrenal Insufficiencyという副腎不全の補充療法の書籍」という副腎不全の補充療法の書籍を参考にしています。この書籍では、コルチゾールの概日リズムを模倣するサーカディアンリズム投与など、増量以外の有効な調整方法がメカニズムの解説とともに複数紹介されています。
これらの方法を取り入れることで、より自然なホルモンバランスを再現し、コートリルの量を増やさずに体調のコントロールが改善される可能性があります。さらに深く知りたい方にはぜひ一読をおすすめします。
ある程度の自発機能がある場合は、朝1回のみの服用・朝と昼過ぎの2回の服用で夜を凌げますが、自発機能がゼロに近く、コートリルからのコルチゾールのみで体調維持をする場合は、3分割よりも4分割の方が模造しやすいと言われています。
ただ、この場合でも、甘草とグレープフルーツにも引用した通り、吸収率・クリアランス・併用している薬(CYPの影響)・特定の食品から影響される個人差を考慮して調整する事が重要なので、CBGの影響やCYPの影響を理解する事が欠かせません。
日本の現状と対策
コートリルを毎日補充しているのに調子が整わない場合、日本の医療では「不足している可能性があるので増量しましょうか」という指示が出ることが多い印象です。これは、過量による副作用よりも、不足が原因で命に関わる事態を防ぐことを優先する傾向が強いからだと思います。特に、コルチゾール不足は致命的な影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応がとられているのでしょう。
ただ、コルチゾールの不足を正確に可視化できる指標がないため、内分泌の専門医も患者の申告をもとに推測で判断するしかないのが現状です。このアプローチには限界があり、患者それぞれ異なる体調不良の原因を正確に見極めるのは難しい場面もあります。
だからこそ、実際に体験している患者自身が知識を深め、自分の症状や反応を記録してヒントをつかむことが重要だと思います。医師と連携しながら、適切な調整を進めるためには、患者側の理解や工夫が必要不可欠だと思っています。
国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。