第93話「活動と補充」

コートリルを頓服に切り替えてから1年5ヶ月が経ちました。今日は内分泌の受診日で、8時半ごろに安静採血をした結果、コルチゾールは7.1μg/dL、ACTHは15.3pg/mLでした。今回はコルチゾールはやや低めで、ACTHはこれまでの傾向からすると「頑張って出している感じ」がある数値でした。

採血結果※コートリル抜き・安静・8時半の採血・睡眠⚪︎

採血結果

前回の見立てと同じく、コルチゾールの数値は流動的で断定できない部分が多いものの、安静時の採血では7μg/dLを目安にすることが多いとのことで、今回はそのギリギリのラインでした。ただ、この数値でも問題なく過ごせる方もいるそうなので、やっぱり正確に知るには負荷試験をしないと分からないとのことでした。

総蛋白とアルブミンの低下について

ミネラルは崩れていませんでしたが、今回は総蛋白とアルブミンが少し低めになっていました。普段は、朝と昼にしっかり野菜とタンパク質を摂ることで、体調を整えるようにしているのですが、ここ数日はかなり忙しく、会食や外食が続くなかで、そのベースとなる食事が少しおろそかになっていたかもしれません。それに加えて、冷えに対する対策も少し甘くなっていたように思います。この時期は特に、気温や服装の変化もあって冷えやすいので、あらためて食事とあわせて、からだを冷やさない工夫も意識していきたいと思います。

採血結果

栄養は「どれだけ摂るか」だけでなく、「どれだけ消化・吸収できて、どれだけ体に留めておけるか」のバランスも大切です。いくら意識して摂取していても、胃腸の機能が落ちていれば、たんぱく質の吸収もうまくいかず、血中の濃度に反映されにくくなってしまいます。また、水分バランスも関係していて、脱水やむくみがあると、アルブミンの値が一時的に低く見えることもあるそうです。こうした「巡りの悪さ」=水滞があると、腸や肝の働きにも影響しやすくなるため、からだ全体の代謝や栄養吸収にも影響が出てきてしまいます。

この時期は特に体を冷やす冷たい飲み物を控えたり、自律神経を刺激しやすく、胃腸にも負担がかかるカフェインを控えながら、自分の体に合う利水食材や温かいものを取り入れて、「巡り」を整える意識を持つことで、体の中から整っていく感覚を取り戻せたらいいなと思っています。そう考えると、水滞って、コルチゾールにとってもなかなかの敵かもしれません。

DHEA-Sの変化と回復の見立て

今回、DHEA-Sは23μg/dLで、私史上でこれまでで一番高い数値でした。コルチゾールの値が低めだったにもかかわらず、このDHEA-Sの結果からは「まだ完全に回復したとは言えないけれど、少しずつ良くなってきているのではないか」との見立てをいただきました。もしかすると、コルチゾールとDHEA-Sに書いた「DHEA-Sを自然に増やす工夫」が、少しずつ功を奏してきたのかもしれません。

DHEA-Sの推移※DHEA-Sの推移

DHEA-Sの測定は、副腎皮質機能低下症の診断を補完する有用な指標として注目されているそうです。「DHEAS may serve as biomarker for diagnosing adrenal insufficiency」にも書かれているように、DHEA-Sはコルチゾールほど変動が大きくないため、血糖値に対するHbA1cのように「ここ最近の副腎の平均的な働き」を反映しやすいと言われています。なので、コルチゾール単独では見えにくい、回復傾向や補充の過不足を把握するうえで、DHEA-Sは手がかりになることもあるみたいです。

ラトケ嚢胞と下垂体の所見

このことは、今日の診察で初めて知った内容ですが、トルコ鞍の単純MRIを再度撮影したところ、小さなラトケ嚢胞のサイズに変化はなかったものの、下垂体には以前から軽度の腫れのような所見があるらしく、今回も「異常」とまではいかないものの、自己免疫性の下垂体炎の可能性もゼロではないとのことでした。

この腫れは、本当にごくわずかな程度らしく、現時点ではその影響でACTHやコルチゾールに大きな影響が出ている可能性は低く、このまま回復傾向が続いていれば、しばらくは経過観察でよいそうです。私はこれまで「原因不明(特発性)」という診断のままで詳しい精査ができていなかったのですが、そんな可能性もあるのかと知り、正直少し驚きました。

コートリルについて

私のように少しずつ回復してきたケースでも、コートリルに頼り続けることで、なかなか回復が進まないまま過ごしている方も多いそうです。今回の診察でも、主治医から「依存」という言葉が出ていて、状況によっては、むしろ服用しないほうがいい場面でも、習慣的に飲み続けてしまい、その結果、HPA軸の働きが抑制された状態から抜け出せなくなることもある、という話がありました。

私自身は、「倦怠感」くらいではコートリルを飲まず、我慢して我慢して、どうしようもないという段階までこないと服用しないようにしています。最近では、そうした場面でも自力で戻せることが少しずつ増えてきたものの、まだ半分以上は、最終的にコートリルを使って乗り切っているのが現状です。

無駄に飲んでいる感覚はありませんが、自分の活動量との兼ね合いや、その日の体調の振れ幅も含めて、補充のタイミングや使い方を、もう一度見直してみようと思いました。月に数回の単発でしか飲んでいなくても、そんなリスクがあるのかと思うと、正直少し驚きました。

今回の気づき

自分では正しいと思って取り組んでいることも、違う角度から見てはじめて気づくこともあるので、今回の診察は色々と見直す良いきっかけになりました。

主治医はいつも、その時々の私の状態に合わせて、必要なことを見極めながら、時には少し耳が痛く感じるようなことでも、的確に伝えてくださいます。そんな主治医と出会えたことは、本当に幸運だったなとあらためて感じています。そもそも私は、優しさだけで包んでくれる人よりも、現実をしっかり見たうえで向き合ってくれる人のほうが好きなので、そういう意味でも、とても信頼できていて、しっくりきています。

活動量と補充のバランスについては、やはり無理をしないことをあらためて意識して、予定を少しずつ間引きながら、この夏を穏やかに過ごしてみようと思います。適度な運動はHPA軸の働きを整える助けになるそうなので、これからも無理のない範囲で続けていけたらと思います。運動については、今のところ大きな負荷にはなっていない印象ですが、パーソナルトレーニングも30分以内におさえるなど、なるべく体に負担がかからないようにしてみようと思います。

栄養はコルチゾールと同じで「どれだけ摂るか」だけでなく、「どれだけ消化・吸収できて、どれだけ体に留めておけるか」が本当に大事なポイントなんだと、今回あらためて感じました。栄養も、巡りも、ホルモンも、すべてが少しずつつながっているので、どんな病気でも「ホリスティックケア」の視点はやっぱり欠かせないなと思いました。

良い結果を出せるように、これからも丁寧に自分の体と向き合っていきたいと思います。

2025.5.7 掲載

闘病日記 by ここ プロフィール
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