Note低用量補充の検討について 国内

日本内分泌学会雑誌(2024年100巻)に2024年8月3日に公開された「周術期低用量ステロイド補充プロトコルへの変更に伴う安全性と有効性の検討」から、副腎皮質機能低下症のコルチゾール補充療法のヒントになりそうな部分を拾ってみました。

この記事は、下垂体の外科治療の周術期に、HPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎)の機能障害が起きる可能性を考慮して行われている、ステロイド補充の投与量の最適化がテーマになっています。

現状は、周術期の潜在的な下垂体副腎皮質機能障害の予防を目的とした定まったプロトコルが無く、施設ごとに様々な量で行われているそうです。長期のステロイド投与がHPA軸の機能低下をきたす事に加えて、高用量の補充が遅発性副腎皮質機能低下に関与している可能性があるという報告を受け、低用量化の効果と安全性を検討してみたところ、低用量化した方がデメリットが少なく、安全性も保たれる可能性が高い事が示されたそうです。

また、デキサメタゾンなどの長時間作用型のステロイドは、1回の投与で約1週間ほどコルチゾール分泌が抑制されるので、1か月間のみの場合でも、多めに投与した場合は、下垂体副腎皮質機能低下が遷延・永続化する可能性がある事が書かれれていました。

資料[出典]日本内分泌学会雑誌(2024年100巻)周術期低用量ステロイド補充プロトコルへの変更に伴う安全性と有効性の検討

今までは「過量でも不足より安全」「現行法で困っていない」などの考えから、少し多めの補充量を設定している場合があるけれど、研究が進んで行く事で、なるべくHPA軸の機能を保つ事を優先して、少なめの補充量にシフトして行く可能性があるという事の様です。

また、他に併発している疾患が無い(副腎皮質機能低下症だけの)場合は、ステロイドの作用と副作用でも触れていた様に、なるべく体内で自然に近いヒドロコルチゾン(コートリル)で体調維持する事が、自発機能を保つ為にも重要な様です。

[出典]日本内分泌学会雑誌(2024年100巻)周術期低用量ステロイド補充プロトコルへの変更に伴う安全性と有効性の検討


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