参考にしている文献
Vaidya先生の総説(2025年6月)
JAMA誌に掲載されたAnand Vaidya(ハーバード大学・Brigham and Women’s Hospital所属で、副腎疾患センターの所長を務める内分泌専門医)による総説「Adrenal Insufficiency in Adults: A Review」(Single Article £35.00)では、原発性・続発性・グルココルチコイド誘発性の3つに分けて、副腎不全の診断・治療・管理の全体像がわかりやすく整理されています。特に、グルココルチコイド誘発性副腎不全については、離脱症状との見極めや、副腎機能の回復の可能性、減薬の進め方、診断後の経過や予後に至るまで、実臨床で重要となるポイントが豊富なデータとともに丁寧に解説されており、今の体調や治療方針を整理・見直すうえでも、大きなヒントになる1本だと感じました。
※Vaidya先生の総説の関連記事にまとめています。
Hindmarsh教授の専門書(2024年3月)
欧米のコミュニティで話題になっているPeter C. Hindmarsh(ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ病院の小児内分泌学教授で、副腎不全の補充療法に関する長年の研究と臨床経験をもつ専門医)とKathy Geertsma(患者家族)の副腎不全の補充療法の書籍「Replacement Therapies in Adrenal Insufficiency」という副腎不全の補充療法の書籍には、2024年3月時点で最新の情報から、原因・メカニズム・補充療法・薬物相互作用・副作用・緊急時の対応などの情報が、病状別(アジソン病・下垂体機能低下症・先天性副腎低形成・副腎摘出)に解説されています。この書籍の概要は「副腎不全の補充療法の書籍」に、感想文は日記の第58話「副腎不全の専門書」に記録しています。
※Hindmarshの書籍の関連記事にまとめています。
Husebye先生の総説(2021年2月)
現在の内分泌学会のガイドラインの服用量(単純に体重換算や体表面積換算から算出)は、原発性副腎皮質機能低下症をベースに作成されている事から、原発性と続発性の両方を考慮したEystein S Husebye(ノルウェー・ベルゲン大学の内分泌専門医で、欧州の副腎不全研究を長年牽引してきた研究者)の副腎不全の論文「Adrenal insufficiency」を元にしたガイドラインを取り入れて治療しているケースが増えているそうです。最新の理論にご興味ある方は購入(Academic & Personal: 24 hour online accessでUSD $39.95+ applicable tax)して読む事が可能です。情報の一部は「補充療法の漸減アプローチ」にまとめています。
※Husebyeの論文の関連記事にまとめています。
患者が執筆した書籍
Kindleで購入できる副腎皮質機能低下症の本を読んで参考にしました。詳しくは第5話「欧米の情報」にまとめています。
- A Patient’s Guide to Managing Adrenal Insufficiency(2020年4月出版)
Winslow E. Dixon(副腎不全の患者・臨床薬草学者)とAdrenal Alternatives Foundation - The Adrenal Insufficiency Handbook(2019年7月出版)
Elizabeth Gray(副腎不全の患者)
コミュニティの情報
この病気と上手く付き合って行く為に、欧米の実名登録制の副腎皮質機能低下症コミュニティ(内分泌医と研究者も所属・入会条件あり)の、複数の副腎皮質機能低下症のグループ・続発性限定のグループ・論文研究ディスカッションのグループ・アスリート(運動する人)のグループ・女性限定のグループ・テーパリングのグループなどから情報収集して、メカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」に記録しています。
※2025年7月現在、欧米の副腎皮質機能低下症のコミュニティには約15,000人が登録されており、運動を習慣にしている方は約4,800人、回復を目指して減薬に取り組んでいる方は約970人、調整・減薬に取り組んでいる方は460人、論文ディスカッションに参加している患者・医師・研究者は約1,080人いらっしゃいます。
国内の最新情報
タイムラグがある様ですが、欧米で主流になっている治療法や対処法は、可能な限り国内でも適用になっている様です。
セミナーまとめ
下垂体ミニレクチャー(2025.07.27)
第5回大阪下垂体セミナー(2025.03.14)
令和6年度市民公開講座(2025.02.08)
第13回市民公開講座(2024.12.15)
オンライン医療講演会(2024.12.08)
下垂体ミニレクチャー(2024.07.07)
下垂体の市民公開講座(2024.03.16)
診断・治療ガイドライン
ガイドラインの補足文献(2024.06.13)
ガイドライン2023年版(2024.03.19)
日本の研究
ステロイドホルモン学会(2025.03.23)
低用量補充の検討について(2024.08.05)
CBGや薬剤の影響(2024.06.01)
間脳・下垂体・副腎系研究会(2024.03.18)
その他、欧米の論文や研究からのヒントもあわせて参考にしています。
論文・総説の記事一覧
※補足として文献参考のヒントに、文献の信頼性を判断する目安を記載しています。