NoteHPA軸を整える理論と方法

副腎皮質機能低下症と診断されて闘病を始めた頃に、知人の精神科医から、スウェーデンの精神科医のAnders Hansen(アンデシュ・ハンセン)のHPA軸についての理論が役にたつとアドバイスいただきました。

HPA軸の機能を整えたければ、どんなメカニズムになっているのかを知っておくべきだと思い、著書を調べてみたところ「スマホ脳」「ストレス脳」「運動脳」が世界的ベストセラーになっていて、日本語訳や電子書籍で販売されていました。

試しに「スマホ脳」と「運動脳」を購入して読んでみたところ、スマホ(SNSの利用)や運動と、HPA軸・視床下部・扁桃体・海馬・GABA・ニューロン・BDNF・シナプス・報酬系・ドーパミン・ストレス・コルチゾールとの関係が解りやすく解説されていて、HPA軸の機能回復へのヒントを得る事が出来ました。

本の概要

アンデシュ・ハンセン氏によると、HPA軸とスマホ(SNSの利用)や運動との関係には、化学的な理論や研究が複数存在するそうです。何らかの原因で弱ってしまったHPA軸を、整えて健康な状態に戻したり、健康な方のHPA軸をさらに強化し、ストレスに強くする為には、生活改善が一番の特効薬だそうです。

デジタルデトックスには睡眠薬の様な効果が、運動には抗うつ薬の様な効果があるらしく、不眠症・うつ病・不安神経症と診断した患者さんに、服薬での治療の代わりに、デジタルデトックスと運動をベースにした生活改善を勧めたところ、薬を使わずに治ってしまう事があるそうです。


HPA軸に原因がある精神疾患の患者さんが、薬に頼らずに回復できるなら、同じHPA軸の機能障害の副腎皮質機能低下症の体調管理にも、良い効果が得られるのかもしれません。また、ステロイドを少なからず使用する病気の場合、副作用による認知機能や記憶力の低下の予防も大きな課題ですが、この方法が解決策になる可能性が高い様です。

興味深いのは「ストレスでコルチゾールの血中濃度が高くなると、脳内で情報を伝達する機能が妨げられるが、運動は逆にその機能を高める」「ストレスは脳の可塑性(変化する特性)を損なわせるが、運動はそれを高める事」「ストレスが高まると短期記憶(数分から数時間の記憶)が長期記憶に変わる仕組みにブレーキがかかるが、運動はその逆の作用を促す」という点でした。

副腎皮質機能低下症でも健康な方の場合でも、度を超えた運動は負荷(ストレス)になり、コルチゾールが必要になってしまいますが、適切な強度の運動は、脳にストレスとは逆の効果を得る事ができるメカニズムの様です。

実際に、欧米の副腎皮質機能低下症の患者の多くは、適度な運動の習慣によってQOLが向上して、比較的元気に暮らしています。私もこの1ヶ月間ほど運動を習慣にしていて、HPA軸を含めた体調が改善している体感です。

何故運動でHPA軸が健康になるのか、何故スマホ(SNSの使用)がHPA軸の負担になるのか、具体的にどんな事をすれば良いのか等、ご興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

スマホ脳 アンデシュ・ハンセン(著)久山葉子(翻訳)- amazon
運動脳 アンデシュ・ハンセン(著)御舩由美子(翻訳)- amazon

具体的なHPA軸の話は、書籍に書かれていますが、東洋経済オンラインにも概要が掲載されています。

[参考]運動が脳を鍛え、うつ退け、集中力上げるカラクリ「運動脳」著者アンデシュ・ハンセン氏が明かす – 東洋経済オンライン

国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。