Miscピンチをチャンスに

私は比較的若い頃に独立し、自分で事業を始めました。女性が経営者として仕事をしていると、時には「下心」を含んだオファーを受けることもありました。そんな場面では、ただ警戒するのではなく、相手との関係を健全なビジネスへとシフトさせる工夫を心がけてきました。

例えば、マンツーマンの打ち合わせや食事に誘われた際、2軒目にバーや密室のカラオケに行く流れになりそうなら、私はボウリングに誘うことにしていました。ボウリングなら、健全にアドレナリンを出せますし、公共の場なので安心感もありました。また、適度に体を動かせば、オジさんたちも程よく疲れて満足し、そのまま帰宅してくれます(笑)。そして何より、一緒に楽しい時間を過ごしたというポジティブな思い出が残るのがポイントでした。

時代は変わり、日本にもスポーツクラブやジムが一般的になってきた頃、ゴルフをしない私は「ジム接待」というものを企画し、一緒にジムで汗を流したあとに、美味しいものを食べに行くスタイルを取り入れました。

そんな時間を積み重ねる中で、私は自分の事業の強みや仕事への姿勢を自然と伝え、最初は「下心」ありきだった関係も、やがて信頼できるビジネスパートナーへと変えていきました。若手だった当時の私は、そうした先輩方から仕事の極意を学び、人脈を広げ、美味しいご飯をご馳走になることも少なくありませんでした。月日が流れ、今では引退された方々を、私がご馳走する立場になり、彼らとは今でも親しい関係が続いています。

こうした考え方は、闘病にも通じるものがあると思います。諦めるのではなく、どう向き合うかを工夫することで、より良い未来につながることもある。そんな視点を持つことで、予期せぬ出来事さえも、成長のチャンスに変えられるのではないでしょうか。?

2025.2.17 掲載