Noteオンライン医療講演会 国内
2024年12月8日(日)15時から行われた「内分泌疾患の今を知る オンライン医療講演会」のWeb配信を視聴しました。その中からコルチゾール補充療法に関する部分をメインにまとめてみました。
健やかに生きることが目標
講演会では、副腎皮質機能低下症患者が、生きるために不足しているホルモンを補充するだけではなく、健やかに生きる目標が大事だと話されていました。良好な生活の質を維持し、ストレスの少ない日常を送ることが推奨されています。
コートリルの使用に関する注意点
- 適切な量を守る:コートリルの補充は自然分泌量の15〜20mgが目安です。過剰摂取は深刻な副作用(糖尿病や骨粗しょう症など)を引き起こすため避けることが重要です。
- 慢性的な過剰摂取のリスク:しんどいと感じるだけで安易に増量すると過剰投与につながる可能性があります。主治医と相談し、適切な量を守ることが大切です。
- 感染症やストレス時の対応:感染症やストレス時には増量が必要です。不足すると副腎クリーゼを引き起こし、ショック状態に陥り命に関わる危険性があります。
副腎クリーゼの予防
消化器感染症や呼吸器感染症は通年を通じて副腎不全患者にとって主なリスク要因ですが、季節ごとに特徴的な傾向があります。1月はインフルエンザや呼吸器感染症の割合が高く、7月には胆道感染症や呼吸器感染症の割合が増加します。また、夏場は脱水症状への注意が必要で、冬場は呼吸器感染症の予防が重要です。
副腎クリーゼは循環虚脱を引き起こす危険な状態なので、脱水を防ぐことが重要です。糖尿病患者の場合、スポーツドリンクではなく、水分と塩分を適切に摂取する方法が推奨されています。
- 身体的ストレス時:通常の2~3倍に増量
- 発熱を伴う風邪:コートリル 朝・昼・夕 各1錠
- 高熱・胃腸炎:コートリル 朝・昼・夕 各2錠
- 嘔吐で内服不可の場合:直ちに来院し点滴で投与
- 胃カメラや全身麻酔手術時:水溶性ハイドロコートン100mgを注射
- 発熱・下痢時:迷った場合は増量する方が安全
- しんどいだけの場合:増量せず主治医と相談
ヘルプカードの携帯
緊急時のためにヘルプカードを携帯する際は、財布ではなくお薬手帳に挟むことが推奨されました。救急隊が確認しやすくなります。
ソルコーテフの出荷停止
ソルコーテフ(注射用ヒドロコルチゾン)の出荷停止が継続していますが、現在は代替製剤で対応が進められています。
オキシトシンの重要性
視床下部が障害される頭蓋咽頭腫などの疾患では、バソプレシンだけでなくオキシトシンの欠乏も認められることがあります。また、下垂体機能低下症や中枢性尿崩症に対して適切なホルモン補充を行っても、生活の質が完全には回復しないケースが多いとされています。
頭蓋咽頭腫患者にオキシトシンを経鼻投与したところ、過食(特に高炭水化物食)が抑制され、体重減少が見られたとの研究結果もあります。現在、オキシトシン分泌の評価方法や補充療法についての検討が進められています。
ホルモンバランスと「健やかさ」
「良いホルモン」とされるオキシトシンやセロトニンの分泌を増やし、コルチゾールやアドレナリンの分泌を抑えることが、健やかな生活を送る鍵とされています。
- 怒らないこと(怒りを感じたら深呼吸をして10秒数える)
- 自分も他人も責めず大切にすること
- 人との絆を大切にして頼できるパートナー、仲間を持つこと
- 思いやりの気持ちを持つこと
- スキンシップを大切にすること
- 生きることに対して肯定的であること
- ストレスから逃げず立ち向かうこと
健康と幸福に寄与する因子
- 肥満しない
- 過食しない
- 喫煙しない
- 運動する
- 怒りや憂鬱を避けて、明るい気持ちでいる
- 他者への思いやりと利他的な行動
「Happy people live longer」— 幸せを感じることが、人生の質とその長さを向上させます。
機能回復について
ACTH単独欠損症が回復するケースが時々報告されています。その結果、コートリルを減量したり、頓服に切り替えた例が、日本でも確認されています。特に、経口・吸入・軟膏・点鼻・点眼などの外用ステロイドが原因で気が付かないうちにACTHが低下していたケースが多いようです。
回復の兆候として、ACTHの値が変動し、その後分泌が回復する例が報告されています。このような回復は稀なケースではなく、一定数の患者で確認されているとのことです。
国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解である事をご了承ください。