似た病状の方々へ
副腎皮質機能低下症の患者として、体験談や集めた情報を発信している中で、副腎皮質機能低下症のグレーゾーンにいる方々や、コルチゾールに関係する疾患(ベンゾジアゼピン薬害・副腎疲労・コロナ後遺症・ワクチン後遺症など)を抱える方々からもフォローをいただいています。そこで、補充療法のメリットとデメリットを含め、私なりの解釈をまとめてみました。
- 私が参考にしているもの
- 副腎疲労
- コロナやワクチンの後遺症
- ベンゾジアゼピン薬害
- 補充するメリットとデメリット
私が参考にしているもの
私は副腎皮質機能低下症と診断されているため、日頃参考にしているのは、国内外の内分泌科の医師が執筆した副腎皮質機能低下症に関する論文や文献です。その中でも、第一線で研究されている専門家が話題にしているものを選んでリサーチしています。
また、内分泌医と患者が共著している副腎皮質機能低下症に関する書籍や、同じHPA軸の機能障害に関するヒントとして、ハーバード大学医学部が出版しているコロナ後遺症対策の文献、副腎皮質機能低下症の自然療法医が執筆している文献も参考にしています。
ただし、多くの自然療法(ステロイドを使わずに回復させる医療)は、高額なサプリの販売が目的である場合が多く、そのサプリにもステロイド様成分が含まれることがあるため、私はサプリ以外の生活改善に関する部分だけを参考にしています。
※アシュワガンダについて調べてみました
副腎疲労
副腎疲労は海外でもAdrenal Fatigueと言われていますが、世界各国の内分泌学会は、Adrenal fatigue does not exist: a systematic review(副腎疲労症候群は存在しない:系統的レビュー)という論文をもとに、副腎疲労は存在しないという見解で一致しているようです。
私が読んだ欧米の副腎皮質機能低下症に関する書籍でも、副腎疲労は否定されています。また、論文検索専用のデータベースで「adrenal fatigue endocrinology」と入力しても、信憑性のある論文は見つかりません。
ただ、医学的に病気として定義されていなくても、未病のような状態があるのは事実で、その症状が副腎皮質機能低下症と似ている部分もあります。私はこれを同じHPA軸の機能障害と解釈しています。副腎皮質機能低下症と共通する部分も含め、副腎疲労の対策からのヒントをまとめています。
副腎疲労が医学的に否定されている理由の一つに、治療の多くが高額なサプリの販売を目的としているケースがあるからのようです。もちろん、商売目的ではない病院もあるので、患者側がそれを見極めることも大切だと思っています。
もし、副腎疲労がHPA軸の機能低下による不調が原因であれば、生活改善が有効なケースもあるようです。仮に私が副腎疲労の立ち位置にいた場合、高額なサプリには頼らず、まずは生活改善で軌道修正を試みると思います。
コロナやワクチンの後遺症
副腎皮質機能低下症の研究を読んでいると、コロナ後遺症やワクチンの影響に関する文献を度々目にします。これらの後遺症を抱える方々の一部にも、HPA軸の機能に障害が出るケースがあるようです。ただし、時間が経てば回復できる場合もあるため、投薬だけに頼らず、体を整えていくことが大事なのかもしれません。
ハーバード大学医学部が出版しているコロナ後遺症の管理と回復に関する情報「Managing and Recovering from Long COVID」には、HPA軸の機能が低下していると、特定の処方薬の影響で鎮静や疲労が引き起こされることや、特定の食べ物の除去が回復に有効であること、改善するにはまず栄養を整えることが重要であることが記載されていました。そのため、この場合でも生活改善が有効なケースがあるのではないかと考えています。
コロナ後遺症については、参考までに、コロナ後遺症対策からのヒントとコロナ後遺症とコルチゾールにまとめてあります。
ベンゾジアゼピン薬害
副腎皮質機能低下症の研究を読んでいると、ベンゾジアゼピンの影響に関する文献を度々目にします。服用中の方や、過去に服用歴がある方の一部でも、HPA軸の機能に障害が出るケースがあるようです。
私も過去に服薬歴があったため、その時の状況や調べたことを第45話「興味深い情報」にまとめています。その他、抗精神病薬の影響やベンゾジアゼピンの影響についても、各所に情報を記録しています。
この状態でも、時間が経てば回復できるケースがあるようなので、なるべく投薬だけに頼らず、体を整えていくことが大切だと思っています。
補充するメリットとデメリット
充分なコルチゾールが自発できない場合、コルチゾールを補充することで副腎クリーゼによる命のリスクを減らせますが、ある程度の自発機能が残っているケースで補充(特に常用)すると、その自発機能を失ってしまうリスクがあります。そのため、補充を選択するということは、この先ステロイドに生命維持を委ねることになる可能性が高くなります。
また、コルチゾールを補充しただけでは自律神経が整うわけでもなく、全ての不調が解決するわけではありません。結局は生活改善などで体調を整える工夫が不可欠です。さらに、少しでも補充量が過剰になると、副作用によって新たな不調が生じることもあります。
もし全ての不調を補充で解決しようとした場合、うまくいかず体調が整わないため、補充量が徐々に増えて過剰になり、糖尿病・骨粗鬆症・肥満・ムーンフェイス・高血圧などの副作用が現れるリスクがあります。さらに、適量まで減薬することが難しくなり、体調のコントロールが悪化する恐れもあります。
なので、今すぐにコルチゾールを補充しなければ命のリスクがある場合を除き、まずは投薬だけに頼らず、生活改善などで体調を整えることが大切で、それでもうまくいかない場合の選択肢が補充だと考えています。
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