Hint微調整と増量の違い 必読

副腎皮質機能低下症は、なるべく決められたコートリルの「維持量」で生活するのが前提ですが、実際の暮らしでは、活動量や負荷に応じて「繊細な自己管理」が必要になることがあります。

どれくらい動けるか、どれくらい疲れたかを見極めながら、見えないガソリンタンクの残量を探るように調整している感覚に近いと思います。薬が多すぎても少なすぎても体調を崩してしまうので、その日の体調や気温、活動量に合わせて細かな調整をしながら過ごしている人もいると思います。

ただ、自発の分泌がある程度維持できている人は、日常の小さな変動なら体が自然に吸収してくれるので、細かな調整がほとんど必要ない場合もあります。一方で、減薬期や回復途中でギリギリの時は、ほんの少しのズレでも体調に響きやすく、管理が繊細になりやすい時期もありました。

シックデイとの違い

ただ、この「繊細な管理」と、シックデイで行う増量対応をごっちゃにしてしまうと、1錠単位でポンポン飲む癖がつきやすく、サーカディアンリズム(自然なコルチゾールの推移)が乱れてしまうことで、更に体調が安定しない原因になることもあるみたいです。

シックデイの増量は、本来「急性ストレス時に一時的にコルチゾール不足を補うための特別対応」で、日常の微調整とはまったく別の扱いになります。日常の調整は、世界のガイドラインでは1.25〜5mg程度の小さな幅で行うものと言われていますが、シックデイはご存知の通り、それよりも大きく目的も異なります。

ここを混同すると、本来の維持量だけでは体調が整えにくくなり、少しのストレスでも崩れやすい状態につながる可能性があります。

また、自己調整が増えすぎると、「何かあればとりあえず飲む」という習慣になりやすく、かえって不足と過剰の波が大きくなることもあります。こうなると、体が自然に調整・回復しようとするリズムが整いにくく、長期的には不安定さの原因になることもあるみたいです。

これから闘病を始める方にとっては、知識として整理しておくことで、調整の迷いが減り、長い目で見た時に安定へ向かいやすくなるのではないかと思います。


2025.11.20 掲載

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※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。医療に関する判断を行う際は、必ず医師にご相談ください。