Hint不定愁訴と回復力

「サプリや市販薬を飲んだら不定愁訴が治った」という話はよく見かけますが、それが本当に“治った”のかどうかは分からない部分が多いように感じています。

とくに成分がはっきりしないサプリは、意図しないステロイド様作用を持つものが混ざっていたり、体質に合わない形で交感神経や副交感神経に影響する可能性もあるので、慎重に見たほうがいい場合もあると思います。

特に、副腎皮質機能低下症やHPA軸の機能障害が背景にある場合、不定愁訴は「本来のホルモン反応の弱さ」や「ストレス負荷への脆さ」と結びついていることがあります。そこに外部から刺激になるものを足してしまうと、一時的に楽になっても、本来は体が自分で行うべき微調整の機会を奪ってしまうことがあるように思いました。

要するに、不定愁訴レベルの揺らぎは、本来なら自分の回復力で戻せる範囲で、そこを外の補助で上書きすると、自力で整える力が育ちにくくなるというイメージです。これは筋力の回復や自律神経の調整に近く、「軽い不調を乗り越える経験」そのものが、体の復元力を支える役割になっているように感じています。

もうひとつ大事なのは、「サプリで症状が消える=安全」ではないことです。症状が一時的に消えても、実際には刺激で押さえ込まれているだけということもありますし、HPA軸が弱い人の場合は、その刺激の反動があとから返ってくることもあります。

なので、不定愁訴のような軽い揺らぎは、生活の見直しや休息、食事、睡眠の調整で戻せる範囲で整えていく方が、長い目で見ると体が強くなる気がします。

副腎やHPA軸の弱い人ほど、この「自分で戻す感覚」を丁寧に育てたほうがいいと思いました。

2025.11.18 掲載

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※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。医療に関する判断を行う際は、必ず医師にご相談ください。