Misc長距離フライトの要点
副腎皮質機能低下症がある場合、長距離フライトでは気圧の変化や時差、空港での移動や待ち時間など、知らないうちにストレス負荷が重なりやすく、コルチゾールの必要量が増えることがあります。体調を崩さずに移動するためには、必要な時にすぐ補えるよう準備しておくことが大切だと思います。
機内では軽い低酸素やストレスが続き、食事・水分・塩分のリズムが乱れやすく、揺れのために手荷物へすぐ触れない時間もあります。ロストバゲージも起こりやすいので、薬と緊急注射キットは必ず足元のバッグに入れ、緊急用の薬は通常より多めに持っておくと安心です。出発日の朝から水分と塩分を意識して補い、必要であれば主治医と相談したうえで、空港や離陸のストレスに合わせて少し早めの投与を行うことが役立つ場合もあります。血栓予防のため、座ったままでも足を動かすようにしておくと良いと思います。
ひとりで移動する時は、離陸前に客室乗務員へ「具合が悪くなった時はこのバッグに緊急用の薬があります」と短く伝えておくと、何かあった時に素早く対応してもらえます。パートナーや友人と一緒の旅なら、緊急用の薬の場所、ソルコーテフの溶解と投与方法、あなたの前兆、客室乗務員を呼ぶタイミングを共有しておくと、いざという時の流れがスムーズになります。
時差が大きい移動では、最初の投与を「到着地の朝」に合わせるとリズムが戻りやすく、移動日が異常に長くなる場合は途中で少量の追加が必要なこともあります。翌朝からは現地時間で通常通りのスケジュールに戻すと安定しやすいと思います。
また、胃腸トラブルは体調悪化のきっかけになりやすいので、フライト前は刺激の少ない食事を選び、空港の乳製品や揚げ物、甘いものなどは避け、安全に食べられるスナック(プレッツェルやグルテンフリーのクラッカー、電解質など)を手元に入れておくと安心です。必要な場合は制吐薬も持っておくと良いと思います。
多くの体調不良は、想像以上のストレス負荷を見積もりきれなかった時に起きます。準備さえ整えておけば、長距離の移動でも安全に旅を楽しめると思います。
副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、その他の情報は「Misc」へ、メッセージ経由でいただいた質問の一部は「FAQ」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。
