Misc文献参考のヒント
私が参考にしている文献の多くは、欧米の副腎皮質機能低下症の内分泌医や研究者からの最新情報です。加えて、その引用元や関連情報に興味深い内容がありそうな場合は、辿って読んでいく機会もあります。
文献の信頼性を判断する目安のひとつに、被引用数を参考にしている方も多く、例えば欧米でも注目されているES HusebyeのAdrenal insufficiencyは、Google scholarによると238件の被引用数(2024.6.10現在)で、この数ヶ月でも数十件ほど増えていて、この数年間に沢山の論文に引用されている事がわかります。
信頼性と新鮮さ
一般的に新しい研究は、過去の研究よりも進化しているケースが多いですが、単純に「新しい記事」というだけで信頼できて、古ければ参考にならないという訳ではないようです。
論文にはリファレンスという項目があって、どの論文の一部を引用しているのかを明記してあります。
ES HusebyeのAdrenal insufficiencyが引用している142件の論文の中で、最も古いものは2001年の記事4件でした。
[出典]ES HusebyeのAdrenal insufficiency – References
50番目に引用されていたAssociation between premature mortality and hypopituitarism.(早期死亡と下垂体機能低下症との関連性)という記事は引用数が1188件で、この数ヶ月でも数十件ほど増えていました。

このように、古い研究が近年の論文にも引用されているケースは多く(おそらく不変的な内容もある)、古い研究だから参考にならないという訳ではないようです。
余談ですが、この論文は「下垂体機能低下症の患者は超過死亡率が高く、主に脳心血管疾患や呼吸器疾患が原因」という内容でした。
近年の別の論文にも、下垂体機能低下症の患者の主な死亡原因は脳心血管疾患・呼吸器疾患(インフルエンザなどの感染症による肺炎)と記載があり、20年以上の間、主な死因には大きな変化がないようです。
副腎皮質機能低下症は、血糖値をコントロールするのが苦手な体質な上、長期的に微量でも補充のステロイドが余っている場合は、健康な人よりも脳心血管疾患になるリスクが高いと言われています。
血糖値スパイクは脳心血管疾患の大きなリスクになると報告されているので、余計な病気を増やさないためにも、運動ができる方は適度な運動とヘルシーな食生活を、運動が難しい場合でもヘルシーな食生活で予防することが大切だと思います。
副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、その他の情報は「Misc」へ、メッセージ経由でいただいた質問の一部は「FAQ」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。

