第104話「次のステージ」診断から3年3ヶ月

副腎皮質機能低下症と診断されてから3年3ヶ月、コートリルを頓服に切り替えて1年10ヶ月が経ちました。今日は内分泌の受診日で、安静採血の結果はコルチゾールが7.8μg/dL、ACTHが9.1pg/mLと、波はあるものの基準値内で安定していました。

採血結果※コートリル抜き・安静・8時半の採血・睡眠⚪︎

採血結果

前回測定のDHEA-Sは27μg/dLで、年齢基準から見れば決して高い数字ではありませんが、これまでの中では最も高い値でした。「DHEAS may serve as biomarker for diagnosing adrenal insufficiency」にも書かれているように、DHEA-Sの測定は、副腎皮質機能低下症の診断を補完する有用な指標なので、少しずつ良くなってきていると評価されたみたいでした。

DHEA-Sの推移※DHEA-Sの推移

頓服にしてもうすぐ2年になりますが、このところは基準値内で推移し、日常の体調もおおむね安定しています。私の病気やコントロールについての理解も十分とのことで、そろそろかかりつけ医のH先生のクリニックでコートリルを処方してもらい、必要時のみ携帯する方向を打診いただきました。

その前に、負荷試験を行う選択肢もありますが、回復期の場合は、負荷試験そのものが体にとって負担になることや、コートリルが必要な状態の患者でも一時的に基準値に入るケースがあることを考えると、「健康な人と同じレベルに戻った」と、自分の体感で確信を持てた時に受けるのが良い気がしています。

基準値の“中”と“外”のあいだ

もし試験をクリアすれば「寛解」と定義されますが、欧米の患者さんたちの体験談から学んだ限りでは、それよりも、日々の体調や体の反応を通して、自然と判断できる段階を迎えることを目標にしたいと思っています。

というのも、副腎皮質機能低下症の検査で使われているのは、“正常値”ではなく“基準値”です。基準値は、健康とされる人の95%が入る範囲を統計的に示したものにすぎません。つまり、そこに入っていても、体の機能が十分に戻っているとは限りません。

私は、診断がつくまで何年も彷徨い、何度も救急搬送されても原因がわからず、ようやくこの珍しい病気にたどり着いた経緯があるので、「数値が基準内=安心」とは思えない部分があります。基準値との“隙間”の中で、自分を守る感覚を持っておくことも、私にとってのセーフティーネットだと思っています。

次のフェーズに向けて

このまま安定した状態を保てていれば、来年の初旬にはH先生のクリニックに引き継ぎ、必要な時にはS先生にフォローしてもらう形になりそうです。実は、S先生はこの地域でも有名な研究者で、難しい症例や治療の論文も発表されています。ここまで回復できた私がS先生の手を離れ、より重症の方にリソースを託すことは、私にとっても良い区切りのように感じました。

今日の受診では、病気やコントロールについての理解度を、先生にも改めて認めていただけていることを感じ、それが何より嬉しかったです。ここまで回復できたことも実感できて、少しホッとしたというか、ようやく次のステージに進む準備ができた気がします。

これから先は自分で歩いていかなきゃいけません。いずれ、コートリルともお別れして、自分の機能だけで体を守りながら暮らしていく日が来るかもしれません。その時までに、心も体もきちんと整えておきたいと思います。

2025.10.15 掲載

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