Misc副腎クリーゼの発生頻度
2025年10月22日にPubMedに公開されたMON-470 Real-World Data of Adrenal Crisis using a Large-scale Administrative Claims Database(日本の慢性副腎皮質機能低下症患者を対象としたリアルワールドデータ)に、副腎クリーゼの発生状況と定義がまとめられていました。
対象は9,523人で、そのうち581人が副腎クリーゼを経験していました。割合にすると、およそ16人に1人くらいです。
発生回数は合計747回で、同じ人が複数回経験しているケースも含まれています。年間あたりに換算すると、1人あたり0.02回前後とされていて、日常的に頻繁に起きるものではないと考えられます。ただし、一度起こした後は繰り返しやすい傾向があり、発生は一部の患者に偏る特徴があるようでした。
きっかけとして多かったのは、呼吸器感染や消化器感染など、日常的に起こりうる体調変化でした。特別な出来事というより、身近な不調が引き金になるケースが多いようです。副腎クリーゼで入院したケースのうち、およそ7〜8%(平均年齢81.8歳。67%が男性)が30日以内に亡くなっていました。

なお、この研究では、副腎クリーゼは、入院のうえでヒドロコルチゾンの点滴治療が少なくとも2日以上必要だったケースと定義されていて、日常の中で内服で対応できるコルチゾール不足や、外来での点滴で回復する状態とは分けて扱われています。
2024年3月16日(土)に行われた下垂体の市民公開講座では、副腎クリーゼの原因として、胃腸炎・胃腸疾患 23%、他の感染症 25%、外科手術 16%、身体的ストレス 9%、心理的ストレス 16%など、日常の中で起こりうる要因が多くを占めていると説明されていました。
このように、副腎クリーゼは頻繁に起きるものではない一方で、日常の延長にある体調変化をきっかけに発生する可能性がある合併症と考えられます。そして、副腎クリーゼは、命に関わるリスクも伴うことが示されています。日常の中でコルチゾール不足のサインに早めに気づき、無理をせず適切に対応していくことが、予防につながると考えられます。
出典
MON-470 Real-World Data of Adrenal Crisis using a Large-scale Administrative Claims Database
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12543841/
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※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。
