Viewセルフケア能力

慢性疾患というと、「医師の指示を守って治療を続けるもの」というイメージが強いかもしれません。もちろんそれはとても大事なことです。ただ実際には、それだけではなく、患者自身のセルフケアやセルフマネジメントが経過に関わる場合もあると言われています。

慢性疾患の患者教育プログラムとして知られているものに、Chronic Disease Self-Management Program(CDSMP)という取り組みがあります。慢性疾患を持つ人が、自分の体調を観察しながら生活を整えていく力を身につけるためのプログラムです。

こうした研究では、セルフマネジメント能力が高い患者ほど、症状コントロールが安定しやすく、入院や救急受診が減り、生活の質(QOL)が上がる傾向があることが報告されています。

具体的な病気でも、同じようなことが言われています。
例えば糖尿病では、食事や運動、血糖管理を自分で調整できる人ほど合併症のリスクが下がるとされています。
喘息でも、症状日誌やピークフローを使って体調の変化に早めに対応できる人ほど、発作が起きにくくなるという報告があります。

こうした話を見ていると、「セルフケア能力」という言葉は少し専門的ですが、もう少し感覚的に言えば「自分の体にとって良い仕事ができる自分」でいられることなのかなと思います。

今日は少し疲れているから無理をしない。
このサインが出たら早めに対処する。
回復できるように生活を整える。

そういった小さな判断や工夫を日常の中で積み重ねていくことが、体調を安定させる助けになることもあるのかもしれません。

慢性疾患では、医師と関わる時間は診察のときの限られた時間ですが、自分の体と一緒に過ごす時間は毎日続いていきます。

医師の治療をきちんと受けること。
そして、自分の体の変化を観察して整えていくこと。

この二つが両輪として回っていくことが、慢性疾患と付き合っていくうえで大切なことなのかなと思っています。

2026.3.9 掲載