Misc成長ホルモンと甲状腺ホルモン
甘草を使うと、11β-HSD2が抑えられるため、腎臓でコルチゾールが残りやすくなり、その結果として低カリウム・高血圧・浮腫が起きやすくなることはよく知られています(参考)。これは「コルチゾールが増えた」というより、「ブレーキが外れて作用が強く出る」状態です。
成長ホルモンを補充すると、11β-HSD1の働きが抑えられ、コルチゾンからコルチゾールへの再変換が減る可能性があるとされています。そのため、同じ補充量でも、体の中で実際に働いているコルチゾールが少なく感じられることがあるそうです。
Effects of growth hormone replacement on cortisol metabolism in hypopituitary patients treated with cortisone acetate
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11465341/
甲状腺ホルモン補充も、コルチゾールのターンオーバー(代謝速度)を高める可能性があり、コルチゾールが相対的に不足しやすくなったり、症状の悪化や、副腎不全・副腎クリーゼが表面化するきっかけになりやすい人がいるそうです。ただし「必ず増やすべき」という話ではなく、通常量で足りなく感じる人が出やすい構造になる、という理解が近いと思います。
Diagnosis and treatment of adrenal insufficiency including adrenal crisis: a Japan Endocrine Society clinical practice guideline
https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj/63/9/63_EJ16-0242/_pdf
吸入ステロイドやオピオイドの併用
さらに、これらに吸入ステロイドやオピオイドを併用している場合は、話がもう一段複雑になることもあるそうです。吸入薬であっても用量や体質によっては全身に影響し、HPA軸を抑制したり、コルチゾールの動きを不安定にすることがあります。また、オピオイドは中枢を介してACTH分泌を抑えることが知られており、副腎機能に余裕がない状態では影響が表に出やすくなります。
もちろん、すべての人が同じ経過になるわけではありません。体質や併用治療、ホルモン環境の組み合わせによっては、コルチゾールが相対的に不足しやすく、副腎不全や副腎クリーゼが表に出やすくなる人もいるようです。
一方で、複数のホルモンが低下している場合でも、補充療法がうまくはまっていれば、副腎クリーゼを起こさず、安定した経過をたどっているケースもあります。いずれも一部の例で、必ずしも誰にでも当てはまる話ではない、という前提で受け取ってもらえたらと思います。
副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、補充療法のヒントは「Hint」へ、その他の情報は「Misc」へ、メッセージ経由でいただいた質問の一部は「FAQ」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。
