Misc安定して暮らせる可能性
副腎皮質機能低下症の補充療法については、「どれくらいの人が、どの程度の追加や増量をしているのか」が見えにくく、体験談の印象だけが先行しやすい面があります。そこで、実際の分布をできるだけ冷静に捉えるために、アンケート結果と研究データをもとに整理してみました。
今回のアンケートは、@AIstudylogを見てくれている方を対象にしたものなので、一般集団とは異なる偏りがあります。その前提はありますが、コルチゾールのみ補充で過ごしている人が約7割、複数ホルモン補充の人が約3割という分布を見ていると、多くの人が比較的シンプルな補充で生活できている可能性も感じました。

この印象は、市民公開講座などでも紹介されていた研究データとも重なります。成人の先天性副腎過形成(CAH)患者145人を対象とした前向き研究では、習慣的ストレスドーズ(habitual SD)に該当した人は29人で、全体の約20%でした。この研究での habitual SDは、ストレスドーズの平均頻度が月に2回以上で、かつ1回のエピソードが14日以上続いている場合と定義されています。
この定義に当てはめると、残る116人、つまり約80%の人は、少なくとも「月に2回以上コートリルを追加する状態」には該当していませんでした。言い換えると、月に2回以下の追加で過ごしていた人が大半だった、という整理になります。
もちろん、この結果をそのまま「副腎皮質機能低下症の人の多くは増量不要」と読み替えることはできません。疾患背景や補充状況はさまざまで、CAHと続発性・医原性では前提も異なります。ただ、日常的に増やし続ける形ではなく、必要なときだけストレスドーズを使う運用で回せるポテンシャルを持つ人が、大多数を占めている可能性は、このデータからも読み取れるように思います。
補充療法の戦略の違いにまとめた通り、副腎皮質機能低下症の補充療法に、唯一の正解はなく、人それぞれに異なる戦略があります。ただ、ガイドラインには、長期的に健康を損なわずに生活するための安全とされる範囲が示されています。その枠組みを土台にしながら、自分はどのタイプに近そうか、どんな余地を持っていそうかを意識したうえで、前提の異なる人の方法をそのまま取り入れないことは、長く安定して暮らすために大切な視点だと思います。
副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、補充療法のヒントは「Hint」へ、その他の情報は「Misc」へ、メッセージ経由でいただいた質問の一部は「FAQ」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。
※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。
