Misc副腎クリーゼの特徴と考え方

2023年1月30日にJournal of the Endocrine Societyに公開された「The Changing Epidemiology of Adrenal Insufficiency: Iatrogenic Factors Predominate」(Rushworth RL, Torpy DJ)を読み、副腎クリーゼのリスクについて整理してみました。

最近、軽症でもクリーゼになるという研究を見かけることがありましたが、この論文にも副腎クリーゼは重症な人にだけ起こるものではなく、「副腎皮質機能低下症と診断されている人すべてに起こりうる前提で考える必要がある」ということが書かれていました。

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ここでいう「all patients with AI」は、軽症か重症か、原発性か続発性かに関係なく、「副腎皮質機能低下症と診断されている人すべて」を指していて、その中で年間6〜8%程度に副腎クリーゼが起きるとされています。その主な原因は、感染症や発熱、手術、ケガなど、体に負荷がかかる状況だそうです。

補充療法についての理解や教育が不十分な場合は、クリーゼのリスクにつながるとされていますが、教育を受けている患者であっても一定の頻度でクリーゼは起きており、それだけで完全に防げるわけではないようです。

もちろん個人差はありますが、普段の補充が安定していたり、体調が崩れたときに早めに対応できる人は、リスクを抑えられると考えられているみたいです。

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副腎皮質機能低下症に気づかれないまま体調不良が続き、そのまま副腎クリーゼになって、そこで初めて診断されるケースもあるのは、比較的よく知られている話だと思います。

また「クリーゼを起こしやすい層」が存在し、なぜか繰り返す人が一定数いるそうですが、その詳しい理由については、現時点でははっきりとは分かっていないそうです。

副腎クリーゼは「気をつけていれば完全に防げるもの」というよりは、ある程度は起こりうる前提で付き合っていく必要があるものだと感じました。軽症か重症か、原発性か続発性かに関係なく、「副腎皮質機能低下症と診断されている人すべて」にリスクがある、という整理になると思います。

出典

2026.3.31 掲載

副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、補充療法のヒントは「Hint」へ、その他の情報は「Misc」へ、メッセージ経由でいただいた質問の一部は「FAQ」にまとめています。読んでくださった方が、自分なりの工夫を見つけるヒントになればうれしいです。

※体験をもとに整理した内容であり、医学的助言を目的としたものではありません。