FAQQ.「追いコートリル」と「ステロイドカバー」は同じですか?

呼び方は似ていますが、実際の意味はかなり違うと思います。

「追いコートリル」は、日本の一部で使われていた独自の調整方法で、しんどい時にその場でコートリルを「気軽に」追加するやり方でした。いつの間にか「コルチゾール不足以外の不定愁訴」にも幅広く使われてしまい、1錠単位で頻繁に追加するケースや、処方量では追いつかなくなり、ステロイドを個人輸入して自己判断で増やしていた人がいた、という話も耳にしました。

こうした背景もあって、体調が安定しないまま増量だけが続き、減らせなくなる方が出てしまっています。

コートリルはたくさん飲めば効くわけではないこと、コートリル10mgは10μm/dLではないことや、自然なコルチゾールのリズムを考えないまま足していくため、ホルモンの山と谷が大きくなり、かえって体調が安定しにくくなることが多いみたいです。

もちろん、明らかな副腎クリーゼの前兆がある時は、その場で追加する必要があります。ただ、それはあくまでも「緊急対応」で、日常の調整とは別物です。そもそも、そういった事態にならないように、普段から予防しておくことが前提になりますね。

一方の「ステロイドカバー(ストレスドーズ)」は、発熱・感染症・手術・胃カメラなど、明らかに強い負荷がかかる時だけ、一時的に量を増やす方法です。海外ガイドラインや国内の公式セミナーでも説明されている標準的な対応で、通常は「その日の服薬スケジュールに上乗せして増やす」形で行われます。いつもの投与タイミングは変えず、それぞれの回を必要なぶんだけ増やす(倍量にすることもある)という考え方です。

まとめると、
「追いコートリル」は日常的に“足し算を続ける独自のやり方”、
「ステロイドカバー」は明確な負荷に対して行う“一時的な保護措置”。

そもそも追いコートリルという方法は、国内外のガイドラインには書かれておらず、標準的な補充療法として扱われていない点も大きな違いだと思います。

2025.11.26 掲載

※副腎皮質機能低下症の闘病に関して、メッセージやDMでいただいたご質問に、私自身の体験談として回答した内容を記録しています。ご質問はメッセージから受付しています。