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原因不明の副腎皮質機能低下症と診断されて、2022年6月からコートリルを服用開始しました。20mg/dayでも不調だったのですが、国内外の論文や文献からヒントをいただき、HPA軸に負担をかけないように生活改善しているうちに、1.6μm/dLだった自発コルチゾールが基準値まで回復し、服用開始から1年半後の2023年11月に断薬することができました。
私がこの病気と向き合いコントロールしていく上で欠かせなかったのは、コートリルの追加や増量だけに頼らないこと、CBGの影響やCYPの影響を理解して、負荷やリスクを避ける視点を持つことでした。参考にした文献の中から、調整や回復に役立った知識の多くは、Vaidya先生の総説(2025)、Hindmarsh教授の専門書(2024)、Husebye先生の総説(2021)に詳しく書かれています。
- 診断前の経緯
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2017年頃から体調が悪くなり、何かをきっかけに、ひどい消化器症状・160bpm超の頻脈・90%以下の低酸素・呼吸困難・収縮期(高い方)が70mmHg台の低血圧・声が出なくなるといった症状に悩まされていました。原因が特定できず5年ほど医療機関を彷徨い、その間に何度も救急搬送されましたが、副腎皮質機能低下症の診断には至りませんでした。
あまりに頻繁だったせいで、「またこの人か」と顔を覚えられるほど、救急隊員さんにも認識されるようになっていました。声も別人のようにかすれてしまい、周囲の人にはほとんど聞き取れないほどでした。その頃は「病院のすぐ近くに引っ越したい」と真剣に思うくらい、体調がどうにもならない状態でした。
初期の頃は、調子が良いタイミングで運動ができていましたが、運動後や夕食の数時間後に体調が急変していました。運動誘発性アナフィラキシーや、検査で見つからないアレルギーの可能性を考慮し、救急外来で抗ヒスタミン薬やステロイドの点滴を何度か受けました。点滴後、しばらくすると何事もなかったかのように回復したため、ステロイドが効くということだけは分かっていました。
ただ、ステロイドは多くの症状に効くため、副腎皮質機能低下症の診断には至りませんでした。
日に日に症状は悪化し、指の関節痛や全身の筋肉痛・原因不明の発熱・動けないほどの倦怠感が現れるようになりました。いつの間にか眠ってしまったり、寒さに耐えられなくなり、食欲も減って体重が落ち、常に低血圧が続くようになりました。手に負えないアレルギー症状や呼吸困難・頻脈により、動く気力もなくなり、次第に疲弊していきました。
そんな時、藁にもすがる思いで相談に行った呼吸器科の開業医のM先生が、喘息患者のコルチゾール値に興味を持っていたことから、たまたま私のコルチゾールとACTHを調べてくれたことで、副腎皮質機能低下症の診断に辿り着くことができました。その時のACTHは2.3pg/mL・コルチゾールは2.41μg/dLでした。
補充療法を開始すると、救急搬送されることもなくなり、数か月も経てば声も元通りに戻りました。当時は体重も激減していたため、周りの人は私のことを「もう長くないのでは」と思っていたそうです。実際に、あのタイミングで診断されていなければ命を落としていた可能性も高かったと思います。
副腎皮質機能低下症の多くは、診断がつく前にクリーゼが発症しているものの、なかなか診断に至らないのが現状だそうです。特に、私のように数値的に軽症(自発がゼロではない)の患者ほど、一般血液検査でミネラルの異常が現れにくく、所見を見逃されやすいことが原因の一つかもしれません。
- 診断後の経緯
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ACTHが2.3pg/mL・コルチゾールが2.41μg/dLと低値なことが判明して、近くの内分泌科で負荷試験をしました。コルチゾールの基礎値は1.9μg/dL、ACTH負荷試験のコルチゾール頂値は14.2μg/dL、CRH負荷試験ではコルチゾール頂値が10.5μg/dLとカットオフ値以下で、この時点で体調がとても悪かった私はコートリル20mg/dayを処方され、服用開始しました。
専門医が不在な病院だったこともあり、今の主治医(副腎の専門医)のS先生のところに転院し、入院でインスリン低血糖試験やGHRP-2負荷試験をしても白黒付けることができず、視床下部性のACTH単独欠損症(疑)と診断されました。S先生の最初の見立ては「数値的には頓服でも良いのかも」でしたが、この時点で毎日20mgを服用しても不調だったので、減薬は難しい状況でした。
ただ、早い段階で減薬すれば自発機能を戻せる可能性があることと、ベンゾジアゼピン服薬歴のHPA軸への影響や、吸入ステロイドを合わせたことで、一時的に機能低下している可能性も考慮して、出来るところまでコートリルを減薬してみることにしました。
コートリルの服薬以外で体調を整える為に生活を見直して、負荷になるものは全て除去しました。専門医のS先生と相談しながら2.5mg/dayまで減らすことができ、その後は活動量を増やす為に2.5〜5mg/dayで経過を見ていました。コルチゾールは常にギリギリだったので、S先生から「足りない時は飲んで良いので上手く調整してね」と言われてました。
半年くらい経過した頃に、服薬なしのコルチゾール基礎値が12.7μg/dLまで回復したので、試しに断薬してみたところ、頓服でも過ごせるようになりました。同時に吸入ステロイドを1吸入づつ、最後は隔日にして漸減して、4ヶ月後にゼロにする事ができました。
原因不明の体調不良が始まってから8年11ヶ月、 副腎皮質機能低下症と診断されてから3年5ヶ月、 コートリルを頓服に切り替えて2年、 そして喘息の治療で数年使用していた吸入ステロイドを断薬してから1年8ヶ月ほど、それなりに健康的に過ごせています。
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