Misc徐放型ヒドロコルチゾン

徐放型ヒドロコルチゾン(Efmody®)で生理的な日内変動の再現を目指すという研究が行われました。

生理的な日内リズムの再現性

自然なコルチゾールの日内変動は、夜間にレベルが最も低くなり、早朝にピークを迎え、日中は徐々に減少していきます。しかし、従来の即効性のヒドロコルチゾンによる治療では、早朝のコルチゾールレベルを適切に維持できず、夜間の補充も難しいという課題がありました。

徐放型ヒドロコルチゾン(Efmody®)は、夜間就寝前と早朝起床時の2回投与で、コルチゾールの日内変動を模倣するよう設計されています。研究では、夜間に少しずつコルチゾールが放出されることで、朝のピーク時に自然なレベルを達成し、日中も安定した補充が可能になりました。この仕組みにより、健康な人のリズムに近い血中コルチゾール濃度を再現することが確認されています。

模倣による具体的な変化

この治療法を用いることで、副腎機能不全の患者に以下のような変化が見られたそうです。

  • 疲労感の軽減:朝のコルチゾール不足が解消されることで、目覚め時のだるさや疲労感が大幅に軽減
  • 病状のコントロール向上:朝のホルモンバランスが改善され、炎症や代謝異常が軽減
  • 合併症リスクの低減:適切なホルモン補充により、不妊症や心血管疾患などのリスクが減少

研究では、徐放型ヒドロコルチゾンを使用することで、患者の生活の質が向上し、長期的には病状の安定や健康維持が期待されていることがわかりました。

この治療法は、患者にとって負担が少ないにもかかわらず、生活の質や病状のコントロールを大幅に改善する可能性を秘めています。そのため、徐放型ヒドロコルチゾンの導入は、ホルモン補充療法のさらなる進化を促し、多くの患者にとって新たな希望となると考えられています。

プラマイゼロがベスト

徐放型ヒドロコルチゾンでコルチゾールの日内リズムを模倣することで、不調が改善され、副作用も予防できたという研究結果から、コートリルの服用は必要以上に多めに飲んだり、1錠単位で気軽に追加するような対処法は逆効果ということが理解できました。

コートリルの目的は、「不足を補うこと」で、決して「多めに摂取して治す」ものではありません。量を増やしてもピークが上がるだけで長持ちするわけではなく、むしろ、過剰摂取はコルチゾールのリズムを乱し、長期的には副作用を招くリスクがあるため、慎重な管理が必要です。

この研究が示すように、適切な量でコルチゾールの日内変動を再現することが、体調を整え、不調を防ぐための鍵となるため、服薬の量やタイミングを見直すヒントになるのではないでしょうか。

[参考]Chronotherapy based on modified-release hydrocortisone to restore the physiological cortisol diurnal rhythm

2025.1.16 掲載

国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。