Misc回復後の不調 体験談
欧米の副腎皮質機能低下症のコミュニティで、副腎不全(特に視床下部性)から回復した後の課題が議論されていたので、要点をまとめました。
概要
視床下部性の副腎不全から回復した方々の中には、Overstimulation(音・光・匂い・温度・などの刺激に過敏になる状態)と言われる自律神経機能障害が由来の不調を訴える人が少なくないそうです。これらの症状は、ストレス・不安・睡眠障害に加え、ホルモンや神経伝達物質のバランスの乱れが原因となっていると考えられています。また、副腎皮質機能低下症の治療過程で使用されたSSRIなどの向精神薬が、これらの症状を悪化させる一因となる可能性も指摘されています。
背景
副腎不全では、HPA軸(視床下部-下垂体-副腎)の機能が低下し、コルチゾールやセロトニンといった重要なホルモンや神経伝達物質の分泌が減少します。この影響で、エピネフリンやノルエピネフリンといった交感神経を刺激するホルモンのバランスが崩れ、「過剰に刺激されているような感覚」を引き起こすことがあると言われています。
例えば、会議中に周囲の音(ペンをクリックする音やキーボードを打つ音)が異常に気になったり、夜間にわずかな物音で目が覚めてしまうことがあります。こうした症状は、コルチゾールの不足やセロトニンの低下が原因となっている可能性があると考えられています。
向精神薬の影響
副腎皮質機能低下症の治療中、関連する抑うつや不安症状を緩和するために、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が処方されることがあります。エスシタロプラム(レクサプロ)やセルトラリン(ゾロフト)などの薬剤は、脳内のセロトニン濃度を高める作用があり、気分の改善や睡眠障害の軽減に効果を発揮することが多いとされています。
しかし、一部の患者はこれらの薬剤が過剰に作用し、セロトニン症候群(セロトニンの過剰分泌による神経興奮状態)を引き起こす可能性があるそうです。また、服用を中止する際に急激に減量を行うと、神経伝達物質のバランスが崩れ、刺激過敏や離脱症状が現れることがあります。このような離脱症状が長期間続く状況を、Post-SSRI Discontinuation Syndrome(SSRI離脱症候群)と呼んでいるそうです。
ステロイド療法の影響
副腎不全から回復した方々の中には、その後、高用量のステロイド療法を受けた際、急激な中止が副腎不全の再発や自律神経の乱れを引き起こすケースが報告されています。たとえ3日間の短期間のステロイド服用であっても、テーパリング(徐々に減量)が適切に行われない場合、副腎クリーゼや刺激過敏といった症状が現れると言われています。
刺激過敏への対策
刺激過敏や自律神経の乱れに対処するためには、以下のようなアプローチが役立つそうです。
- 医療専門家と相談
精神科医や内分泌科医と連携し、ホルモンや神経伝達物質のバランスを評価してもらいましょう。向精神薬やステロイドの使用についても慎重に相談することが重要です。 - テーパリングを慎重に行う
回復後のステロイドや向精神薬の中止や減量は、急激に行うと副作用を引き起こすリスクがあります。医師の指導のもとで、段階的に減量する方法を検討してください。 - 生活習慣の改善
瞑想や深呼吸、適度な運動が自律神経を整えるのに役立つと言われています。また、ノイズキャンセリングヘッドホンを活用して音刺激を最小限に抑える方法も効果的です。 - ホルモン補充療法の検討
必要に応じて、コルチゾール補充療法を再度行うことも選択肢の一つです。
副腎皮質機能低下症の闘病中や回復後に見られる不調は、病気そのものに加えて、治療や薬剤の影響が複合的に関与している場合があります。これらの症状を緩和し、生活の質を向上させるためには、適切な医療サポートに加え、患者自身が工夫を重ねて対策を講じることが重要だそうです。
「体験談」の記事は、欧米の副腎皮質機能低下症のコミュニティ(実名登録制・一般非公開)の体験談を読んだ感想として記録しています。引用元が一般非公開でソース元にリンクできない事からも、一部の記事は期間限定で公開しています。
国内外の情報や論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を集めています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する事は「Note」へ、体験談やヒントなどは「Misc」に記録しています。
※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。