Hintコルチゾール測定器

6月に公開された「CortiCheck™」というデバイス開発のニュースがコミュニティで話題になっていました。これは、自宅で血糖値を測るように、リアルタイムでコルチゾールを測定できる携帯型のモニターを目指しているプロジェクトで、現在アメリカの団体(United4Rare LLC)によって開発が進められているそうです。

詳細:https://www.corticheck.com/
支援団体:https://www.united4rare.com/

このデバイスはまだ開発初期の段階ですが、将来的には処方箋なしで入手できる一般向け製品として、コルチゾール補充療法が必要な方、ステロイドで治療中の方などに広く使ってもらうことを目標にしているそうです。

可能性と限界

もし、外出先や体調の変化時に「今、自分の体にどれだけコルチゾールが出ているのか」がその場で確認できたら、それは本当に心強い道具になるかもしれません。ただ同時に、こうした「数値の見える化」には限界もあります。たとえば、コルチゾールは日内変動があるホルモンで、単に「数値が高い・低い」だけでは良し悪しの判断ができません

足りているのかの判断

コルチゾール値がリアルタイムで可視化できたとして、「この数値で、今の自分には足りているのか?」が一番の課題だと思います。血糖値であれば、「○○mg/dLを下回ったら低血糖」という明確な基準がありますが、コルチゾールにはそうした絶対基準がありません。必要量は、体の状態(安静・発熱・炎症・運動など)によって大きく変わるからです。

なので、「今の体の負荷に対して、その数値は足りているのか?」を考えるには、個体差と前後の経過を踏まえた判断が必要です。

「見える」ことの意味

ただ、それでも「数値をはかれるようになること」には、確かな意味があると思います。たとえば、自分なりのベースラインを日々記録していくことで、「このくらいの数値なら、今は追加せずに様子を見ていいかも」といった判断の参考になるかもしれません。また、同じ条件で繰り返し測定することで、「今回は反応が早い」「いつもより回復が遅い」といった小さな変化にも気づきやすくなるかもしれません。

このデバイスが、白黒つけるための数値ではなく、“気づきのヒント”として活かせるようになれば、自分の体と向き合うためのひとつの道具になるのではないかと思います。

2025.6.25 掲載

国内外の情報・論文・コントロール良好な方の体験談などから見つけた情報を記録しています。副腎皮質機能低下症のメカニズムに関する情報は「Note」へ、参考になった情報は「Hint」へ、気づきや視点は「Misc」に記録しています。

※医療も翻訳も素人で、コメントも個人的な感想・見解です。