似た病状の方々へ

副腎皮質機能低下症の患者として体験を発信する中で、同じ疾患のグレーゾーンにいる方や、コルチゾールに関わる不調(ベンゾジアゼピン薬害・副腎疲労・コロナ後遺症・ワクチン後遺症など)を抱える方々からも多くの反応をいただいています。今回は、補充療法のメリットとデメリットを含めて、私なりの解釈を整理してみました。

  1. 私が参考にしているもの
  2. 副腎疲労
  3. コロナやワクチンの後遺症
  4. ベンゾジアゼピン薬害
  5. 補充するメリットとデメリット
私が参考にしているもの

私は副腎皮質機能低下症と診断されているため、ふだん参考にしているのは、国内外の内分泌科医が執筆した副腎皮質機能低下症に関する論文や文献です。その中でも、第一線で研究している専門家が取り上げているものを中心に読んでいます。また、内分泌医と患者が共著した副腎皮質機能低下症に関する書籍や、同じHPA軸の機能障害に関する参考として、ハーバード大学医学部が出版しているコロナ後遺症対策の文献自然療法医による文献なども参考にしています。

ただし、多くの自然療法(ステロイドを使わずに回復を目指す医療)の中には、高額なサプリ販売を目的としたものもあり、その一部にはステロイド様成分を含むサプリもあるため、私はサプリ以外の「生活改善」に関する部分のみを参考にしています。

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副腎疲労

副腎疲労は海外ではAdrenal Fatigueと呼ばれていますが、世界各国の内分泌学会は、Adrenal fatigue does not exist: a systematic review(副腎疲労症候群は存在しない:系統的レビュー)を根拠に、「副腎疲労は医学的に存在しない」との見解で一致しています。また、Endocrine Society(米国内分泌学会)やMayo Clinicなど主流の医療機関では科学的根拠が不十分として、この概念を正式な診断名とは認めていません。欧米の副腎皮質機能低下症に関する書籍でも、副腎疲労は否定されています。また、論文検索データベースで「adrenal fatigue endocrinology」と入力しても、信頼性のある論文は見つかりません。

ただ、病気として定義されていなくても、未病のような状態は実際にあり、その症状が副腎皮質機能低下症と重なる部分もあります。私はこれをHPA軸の機能障害の一部として捉えています。

副腎疲労が否定される背景には、高額なサプリ販売を目的とした治療の存在もありますが、商業的でない医療機関もあり、患者自身の見極めも大切です。もし不調の原因がHPA軸の機能低下であれば、生活改善によって回復の糸口が見つかる場合もあるようです。私がその立場なら、まず生活改善で立て直しを試みると思います。関連内容は副腎疲労の対策からのヒントにまとめています。

コロナやワクチンの後遺症

副腎皮質機能低下症の文献を読んでいると、コロナ後遺症やワクチンの影響に関する報告を目にすることがあります。これらの後遺症の中にも、HPA軸の機能低下を伴うケースがあるようです。ただし、時間の経過とともに自然回復する例もあり、薬だけに頼らず体を整えることが重要だと感じます。

ハーバード大学医学部の「Managing and Recovering from Long COVID」では、HPA軸の機能が低下していると特定の薬剤で鎮静や強い疲労が出やすくなること、また栄養状態を整えることが回復の基盤であると記されています。このような観点からも、生活習慣の改善が役立つケースは少なくないように思います。関連内容はコロナ後遺症対策からのヒントコロナ後遺症とコルチゾールにまとめています。

ベンゾジアゼピン薬害

副腎皮質機能低下症の研究の中でも、ベンゾジアゼピンによるHPA軸抑制の報告をたびたび見かけます。服用中や離脱後の一部の方に、HPA軸の機能障害がみられるケースがあるようです。私自身も頭痛薬としての服薬歴があったため、その時の経過を第45話「興味深い情報」に整理しています。

また、抗精神病薬の影響ベンゾジアゼピンの影響についても、関連情報を各所に記録しています。この状態も時間の経過とともに回復していくケースがあるため、焦らず、薬に頼りすぎずに体の回復力を支えることが大切だと思います。

補充するメリットとデメリット

コルチゾールが十分に分泌されない場合、補充によって副腎クリーゼのリスクを減らせます。一方で、自発がまだ残っている段階で補充(特に常用)を始めると、自発機能が弱まり、結果的に副腎不全を招く可能性もあります。つまり、補充を選ぶということは、長期的にはステロイドに依存する生活になるリスクを伴います。

補充で改善できるのは「コルチゾール不足による症状」に限られるため、補充しても自律神経が整うわけではなく、すべての不調が解消するわけでもありません。補充療法をしていても、生活習慣を見直し、体調の土台を整えることは欠かせません。

不調をコルチゾールの補充だけで解決しようとすると、うまくいかないまま補充量が増えてしまい、過剰投与による副作用(糖尿病・骨粗鬆症・肥満・ムーンフェイス・高血圧など)のリスクが高まります。減薬が難しくなり、体調管理が複雑化している方も見かけます。

なので、命に関わるほどの緊急性がない場合は、まず生活改善で体を整えることを優先し、それでも十分な回復が得られないときに、補充を検討する流れが良いように思います。

ステロイドは一度飲み始めると軌道修正が難しくなることもあるので、主治医とよく相談しながら、必要に応じてセカンドオピニオンも取り入れ、納得のいく選択ができると良いと思います。

薬剤の影響という可能性

HPA軸の不調には、ストレスや体質だけでなく、薬剤の影響が関わることもあります。睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬、鎮痛薬などは、必要な時期に正しく使えば大切な助けになりますが、長期的に使用を続けることで、ホルモン分泌やストレス反応のバランスに影響を与える場合もあると報告されています。(=参考

もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、原因がわからないまま長く苦しんでいる人の中には、こうした薬剤の影響を見直すことで、回復のきっかけが見つかることもあるので、可能性のひとつとして丁寧に見ていくことが大事だと思います。

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