
第101話「同じような答え」
副腎皮質機能低下症と診断されてから3年2ヶ月、コートリルを頓服に切り替えて1年9ヶ月、運動を習慣にできるようになって1年5ヶ月ほどになりました。副腎皮質機能低下症は、病院に通って薬をもらって飲むだけでは解決できない部分も多く、日々の暮らしの中で工夫して支えられている部分も少なくありません。
寛解を目指して経過観察を続ける中で、意識したいことを整理するために「マンダラチャート」(←ご自由にお使いください)を活用しています。中心に「運動習慣」「ストレスケア」「睡眠の質」「食事の質」などの、この目標達成に欠かせない課題を置き、周囲に細かい項目を書き出すことで、必要な(継続している)取り組みを可視化しました。
健康な人なら、少しくらい睡眠が足りなかったり食生活が乱れたり、強いストレスを受けても、体がホルモンを分泌してうまくバランスをとってくれます。けれど、この病気ではその調整が働きにくく、「ちょっと無理をした」ことがそのまま体調の崩れやクリーゼにつながってしまうことがあります。
なので、生活リズムや睡眠、食事、運動、ストレスとの付き合い方を意識して、できるだけ健康的に暮らすことが大切なんだと思います。そうした習慣を重ねていくことで薬の効き方も安定して、少しずつ「普通に暮らせる日常」に近づいていけるのではないかなと感じています。
思い返すと、私が闘病の初期に手に取った患者が執筆した本にも、同じような答えが書かれていました。やっぱり最後に行き着くのは、薬だけに頼らず、健康的に暮らす工夫なんだなと思います。コートリルはあくまで、暮らしを支えるための土台であって、その上にどう生活を積み重ねるかが大切なんですね。
3年前の今頃は、補充が切れる夜の時間帯にストレッチをしただけで、翌日に寝込んでしまうこともありました。コルチゾールが比較的存在している午前中に限定して始めた運動も、最初は5分の早歩きが精一杯でした。
今でも有酸素運動は食後のタイミングを守らないとコートリルが必要になることがあります。けれど、この数週間で、10分ほどの筋トレならコルチゾールを気にせず「いつでも」できるくらいまで回復できるようになりました。
短い時間や強めの負荷には対応できるけれど、長時間の負荷にはまだ弱い状態と感じているので、食前に有酸素運動をしても自発コルチゾールでカバーできるようになった時が、精査のための負荷試験を受けるタイミングなのかなと思っています。あと少し回復できるように、体を労わる習慣を積み重ねていきたいと思います。